新着ニュース

できることから環境保全を

環境学習交流センター センター長
岩手県地球温暖化防止活動推進センター センター長    野澤日出夫さん(79)

環境問題への取り組みが、諸外国と比較して後れを取っていると囁かれる日本。その日本の環境問題を考え次代を担う子供たちへ豊かな環境を残したい…と日夜励んでいる人がいます。

  犬の病死を機に獣医師の道へ

野澤さんは、東京都立川市生まれ、戦火を逃れて小田原に疎開し、岩手に来るまで小田原で育ちました。当時より医師を目指していましたが、勉強より生物調査など野山を歩くことが好きだったそうです。そんな野澤さん、小田原高校2年の時に転機が訪れます。可愛がっていたシェパードが病死との診断に疑問を抱き、自分で解剖。誤診だったことを知り、その事で獣医師になることを決意しました。1962年には現在の麻布大学獣医学部を卒業。獣医師として小岩井農牧株式会社へ入社し、岩手県の小岩井農場へと配属されます。
 
当時、小岩井農牧で動物の診療や酪農指導を行なっていた野澤さん。冬には馬で出かけたこともあったそうで「想像したより寒くなかった」と笑います。それと同時に、新しい繁殖技術として凍結精液の開発に携わり、優良な小岩井農場の種牛の精液を東北・北陸・中部各県に配布する事業を進めました。長年の育種改良事業により、日本の乳牛の約13%は、小岩井農場の血統を引き継いでいるとのことです。やがて時代が移ろう中で小岩井農牧も、育種から酪農へと事業の変革期を迎え、野澤さんは酪農技術を学ぶために酪農先進国を多数訪れます。海外で学んだことは、後の人生に大きく関わっていくのでした。

若い頃は四輪だけではなく二輪も乗りこなすほど車好きだった。
車好きは今でも健在

  業の環境から、社会の環境貢献へ

小岩井農場が設立された127年前、緑豊かな今では想像できない荒れ地で、ほとんど人の手が入らず草木も生えない湿原地帯でした。以来防風林の植樹から植林を進め、広大な湿地を暗渠(あんきょ)で排水、家畜の餌を作り畜産を主体に農場作りが続けられました。それにより今では希少植物や、オオタカが繁殖する自然豊かな森となり、農場全体では約800万トンの保水能力を持つ緑のダムとなりました。土づくり⇒牧草・トウモロコシなどの飼料づくり⇒乳牛・肉牛⇒畜産廃棄物(糞尿など)⇒バイオガス発電所⇒電気・堆肥⇒飼料畑⇒牧草・トウモロコシなど飼料づくり…と持続的に循環する中で、小岩井の牛乳が搾られ、肉牛も生産され、今では持続可能な自然循環型の農林畜産事業がここにはあります。

暗渠(あんきょ)         
地中に埋設された河川や水路のことであり、開渠に相対する概念である。

「暗渠」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2019年5月17日(金)10:03 UTC
URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%9D%E6%B8%A0

活動の中で、野澤さんは、ベースに常に「環境」を考え、日本オーガニック農産物協会の立ち上げ参画や、主席ビオトープアドバイザーの取得。日本ビオトープ協会の副会長の経験。さらには、岩手県環境基本計画の最初の委員として常に環境に対して向き合っています。世界の環境に関して、2015年世界は正しい方向に大きく舵を切ったと野澤さんは言います。

それは、地球温暖化を防ぐための目標を明確にした「パリ協定」今世紀後半には、
化石燃料をゼロとした「脱炭素社会」にすること
もう一つは、「SDGs」持続可能な開発のための17の目標
「だれひとり取り残さない」という世界の約束です。
「これらの取り組みについて遅れをとることは、今の子供たちに先送りされているのと一緒です。率先して行わないといけない」と熱く話します。

現在は認定NPO法人環境パートナーシップいわての代表理事として、大津波による甚大な被害を受けた方々の復興へのお手伝いを続けています。

2018年9月 デンマークコペンハーゲン
後方に巨大風力発電が見える

 環境学習交流センター(アイーナ5F)に併設されている「岩手県地球温暖化防止活動推進センター」のセンター長も兼務する野澤さんは、センターで子どもたちに地球環境の話をしたり、講演活動に精を出しています。

みんな大きなことをやらなくてもいいんです。ゴミをひとつ減らす。
まずはそこからでいい。小さなことなら永く続けられますから


と、家庭でできることを話してくれます。  今後も環境保全の活動を続けたいという野澤さんですが、今やりたいことを聞いたところ、奥様と車で旅行がしたいと答えてくれました。「あちこち視察で回ったけど、観光地は行ったことがないので、女房孝行も含めて一緒に歩きたいんだよね」と笑います。環境に優しい野澤さんが、最後には奥様にも優しい一面を見せてくれました。


プロフィール

野澤日出夫さん
1940年、東京都立川市で7人兄弟の6番目として生まれる。獣医師として小岩井農牧(株)に入社し、乳牛育種と改良に従事する。趣味は和弓と車で、若い頃にはレーシングコースを走ったり「岩手日報ラリーレース」にも出場し6位入賞を果たす。

関連記事

ページ上部へ戻る