「人生の最後を美しく迎えたい」という女性の強い思いから生まれた「エンディングドレス」。このドレスを扱うのは「アムール・ド・クチュール」代表の行徳政加さんです。住職でもある行徳さんは、日々の相談のなかで「好きなものを着て旅立ちたい」、「生きた証を最後に残したい」という思いに応えるべく、ドレスを作ることを決めたといいます。縫製を担う「シェヌ洋装店」代表の佐藤玲子さんと共に2年前から何度も試作に励んだそう。
「スーツや普段着を着せたいとご家族からのご要望があるのですが、ボタンや装飾品は一緒に燃やせないのです。なので生地は燃えやすくお骨につかないシルク(絹)やサテン(綿)を選びました。男女それぞれの年齢や体型に合わせて作るのが大変でしたね」と行徳さん。着やすさを重視して袖周りを広くとったり、首元にリボンやギャザーをあしらうことで、手術跡が隠れるような配慮も。地元の熟練スタッフが丁寧に仕立てているため、安心な仕上がりです。プロの染色職人による特殊なぼかし染め技法により、淡く優しい色合いを表現することもできるので、世界でたった一つのドレスを作ることができます。
「同業者の仲間からは、素敵だねとたくさんの反響があり嬉しかったです」と行徳さん。お客さまから「着心地がとても良いので、毎日寝間着として使っている」「結婚した時にウエディングドレスを着れなかったので、着てみたい」という声もあるそう。
「ドレスを着ることで、自身も家族も死に対して前向きになります。葬儀では、みなさん泣きながらも『きれいだね、いい葬儀だったね』と笑顔で見送っていたのが印象的でした。明るく送り出すことで悲しみも軽くなり、みなさんの記憶にも残るのがいいですね」。