転機となったのは、広域振興局林務部の臨時職員として働いていた時。事務所の向かいの席に座っていた「岩手県木炭協会」の職員が体調不良で仕事を辞めることになり、誰かいないかと千田さんに声がかかります。結婚が決まっていた千田さんは生活の安定をはかるために面接を受け、30歳で木炭協会に入社。
「入社してからは木炭の普及員として生産、品質指導や経営相談などで県内を回っていたね。16年間勤めたけど教えるより教えられる方が多かったかな。木炭協会は、いろいろと職人さんと話をすることが多いんだけど、行く先々で本当によくしてもらったよ」と千田さん。そんななか、炭が安い、売れないなどの悩みも多く、継がせたくないという職人を多く見てきたと話します。炭文化を守るためには後継者を育てないと…と千田さんは心の中で、考えるようになっていました。