東京生まれ、東京育ち。今年6月、NTT東日本岩手支店に支店長として赴任するまで、ずっと都内在住だった片岡さん。「就職してからも、一番遠かった勤務地が横浜。ほぼ東京から出ていないです」と笑います。
大学卒業後は、学んだ数学的思考が役立ちそうな情報通信の分野で社会を変える礎に貢献したいとNTTに入社。「きれいなオフィスでデスクワーク、というイメージで入社しましたが、実際に配属されたのは電話局の常駐エンジニア。窓のない機械室で作業着を着て、一日中地味な作業をしていました」と、振り返ります。
24時間稼働で、重要な装置の更改作業はおおむね深夜。しかし当時、女性社員の深夜勤務は認められておらず、男性社員だけが新しい装置や技術に触れる機会を与えられていることに歯痒さを感じたという片岡さん。
「自分だけ仕事の幅が広がらないように思えて、私がここにいる意味があるのか。と、転職も考えました。私にもやらせてください、と上司に詰め寄って困らせたりもしましたね」
そんな日々に転機が訪れたのは、入社5年目。東京全体の通信ネットワークをグランドデザイン(中長期的な配備計画や設計)する部署への異動がきっかけでした。「この会社じゃなければできないような、大規模ネットワーク構築に携わり、やりがいを感じました。尊敬できる上司との出会いも大きかったです。どんなにキャリアを積んでも努力を続ける姿勢や、あらゆる分野に『通信技術を応用できないか』とアンテナを張る発想力に、とても刺激を受けました」
この頃には「こんなに面白い仕事は他にない、と思えるようになっていました。今思えば、新人時代の地味な5年間の経験が基礎固めとなり、今に一番活かされていると感じます」と、片岡さんは話します。