生活の基盤となる家や日常で使う家具など、私たちは木の暖かさを身近に感じながら生活してきました。そんな木が持つ温もりを小さい頃から触れてほしいと木のおもちゃ作りを20年近く続けているのが木のおもちゃ工房さんりんしゃの井上靖宏さんです。
井上さんは滝沢市で農業を営む両親のもとに長男として生まれました。兼業農家で父親は大工仕事もしており、よく手伝いをしていたと言います。「柱を組み立てるための穴を開けたり、ほぞ(接合するための突起部分)を切り出す手伝いをしていて、その時に父から木の性質や扱い方など基本を教わりました」と技術と知識を身につけた井上さん。自然ともの作りが好きになっていきました。
その後、農業高校に進学しますが農業だけではやっていけないからと滝沢村役場へ入庁。「最初は牛に関わる業務に携わり、国土調査や防災、福祉、特に農業関係の仕事を長くしました。急に業種が違う課への異動はよくあり、前任者や先輩から教わりながら業務をこなすのは大変でした」と役場時代を振り返ります。