高舘さんが盛岡書房を株式会社として立ち上げようとしていた時、読み終え手放した本を別の人に届け、また次の新しい本を手にしてもらえるような"本の循環"ができれば読書の普及にもつなげられるのではと考えていました。せっかく寄付してもらった本を地域のために生かしたいと考えていると、病気で入院している子どもたちの話を耳にします。「岩手医科大学附属病院の看護科の先生からコロナ禍で長期入院している子どもたちと両親が面会できなかったり、心の発育が遅れ医療でケアできない部分があると聞き、これだと思いました」と高舘さん。幼い頃から本に親しんできた高舘さんは紙の本は五感が刺激され創造力が養われると実感しており、病室の子どもたちにも本から刺激を受け楽しんでもらいたいと願うように。そこで紹介してもらい出会った、さわや書店の栗澤さんにプロジェクトの話を持ちかけます。「ずっと盛岡を本のまちにしたいと思い、読書の普及や本に関心を持ってもらうにはどうしたらいいか考えていました。象と花の話をもらった時はぜひ協力させてほしいとお願いしました」と栗澤さん。ここからプロジェクトが始まります。
盛岡信用金庫の協力で窓口に本の回収ボックスを設置し寄付してもらった本を盛岡書房で査定・販売。その資金をもとにさわや書店で子どもたちに合った本を選書し届ける「象と花」プロジェクトの仕組みを考案し実施することにしました。