大切な人が「死」に直面し苦しんでいる時、私たちはどんなサポートができるのでしょうか。髙木さんがあるご夫婦をケアした時の話です。その方は数年前にお子さんを亡くし大きな喪失感に苦しんでいました。そんな中、奥さまががんを患いターミナル期に入りました。「残していくご主人ともう一人のお子さんのことは心配だったでしょうが、先に亡くなったあの子に会えると言って旅立ちました」と髙木さん。「あいつは喜んで逝ったけれど俺のことはどうしてくれるんだ」とご主人が怒りをぶつけるほど、奥さまは希望と共に旅立ったといいます。「寂しさが怒りとして噴き出ているけれど、ご主人の心には自分が逝く時には奥さまと子どもに会えるという気持ちが芽生えてホッとしていると思う」と話す髙木さん。亡くなって無になるのではなく「向こうでまた会える」という再会の希望が、逝く人と送る人の心をつないでいるといいます。
また、ターミナル期の方が亡くなった家族や知人に会う「お迎え現象」について話す髙木さん。両親や配偶者、中には愛犬が会いに来たという事例も。死を前にした方が普通では考えられないような現象を見ることは良くあることなので「何を言っているの」と否定しないで「あら良かったね」と受け入れてほしいといいます。向こうで待っていてくれる人がいる、それだけで「死」への不安は軽くなるといいます。