小田嶋さんは、これまで40年以上酒類業界に従事してきました。当時勤めていた会社を退職した後は清酒メーカーへの再就職が決まっていましたが、5年前にエーデルワインから営業力を強化したいと声がかかりました。「想定外でしたが、問屋の立場でエーデルワインを見てきた中で『月のセレナーデ』を発売した頃から品質も知名度もグンと上がったという記憶があり、以前から岩手でトップのエーデルワインという企業に興味はありました」と小田嶋さん。岩手の老舗ワイナリーで、自分の経験がどこまで役に立つか挑戦したいという気持ちが湧いたといいます。問屋時代に培った営業ノウハウを活かし販路を拡大、ワインで地域の活性化にも貢献してきました。
「もちろんコロナの打撃はありますが、3年ぶりにワインフェスティバルやワイン祭りも開催でき、多くの方に楽しんでいただきました」と小田嶋さん。昨年オープンした「ワインシャトー平泉」も県外からの観光客で賑わっています。「今年は60周年記念ワインの発売のほか中国、台湾に続く海外との取引も強化します」と意気込は人一倍。一度飲めばおいしさは分かってもらえると、新たなファン獲得に向けて動いています。
春は自分で採った山菜をつまみに、夏は氷を入れてかち割りで、冬はホットでワインを楽しんでいるという小田嶋さん。特別な日には、日本では大迫でしか栽培していない希少品種「ラタイ」で乾杯することも。ぶどうの苗から始まるストーリーに思いを馳せ、コルクを開ける瞬間のワクワク感も楽しんで欲しいといいます。「岩手のワインってこんなにおいしいの」という嬉しい声を何度も耳にしてきた小田嶋さんは、まだエーデルワインを知らない人に岩手のぶどう100%で作った自慢のワインを届けていきたいと話します。