昨年、設立30周年を迎えた「いわておかみ会」。岩手県内の50代から80代の女将17名で組織し、共に学び、時に励まし合いながら「おもてなし」の心と技を磨いています。2020年から会長を務めるのは「新安比温泉 静流閣」の橋本英子さん。会員数の減少や高齢化など課題はありますが、岩手で活躍する経営者を講師に招き研修会を行うなど、会員の役に立つ情報提供の場を設け、魅力あるおかみ会を目指し活動しています。
女将就任前は、ご夫婦でスーパーマーケットを経営していた橋本さん。4人の子どもも成長し余裕ができた頃、ご主人のお父さまから「新安比温泉 静流閣」を継承することになりました。「スーパーのおばちゃんとして静かに暮らしていくものだと思っていましたから、戸惑いました」と橋本さん。「でも誰かがやらなければならないなら、それが私の後半の人生の役割なのかなとも思いました」と続けます。
しかし、それまで温泉業務の経験がなく、仕事の流れもスタッフの名前も分からない状況でした。朝食スタッフとして現場に入ることから始め、一つずつ仕事を覚えていきました。
経営について学ぶために加入した「全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会 女性経営者の会(JKK)」では、素晴らしい経営者との出会いに刺激を受けているという橋本さん。全国に人脈を広げ、2018年から2年間副会長も務めました。「私がJKKで見聞きしたことをおかみ会の仲間と共有することで、岩手の温泉業界が抱える課題解決につながれば嬉しい」と話します。