岩手の高校球児の聖地と呼ばれてきた岩手県営野球場。菊池雄星選手、大谷翔平選手、佐々木朗希選手も、この聖地のマウンドに立ち甲子園を目指しました。「記憶に残っているのは、着任した年の夏の大会で、大船渡高校の佐々木朗希選手が160キロを出したことです」と菊池さん。「あまりのスピードに、某スポーツ紙の記者がスピードガン大丈夫ですかと確認に来たほどです」と振り返ります。甲子園を目指す選手にとって、一試合一試合が人生を賭けた大勝負。イレギュラーバウンドなど整備の良し悪しが試合を左右するようなことがあってはならないと、グラウンド整備にも細心の注意を払ってきました。「ここは土の球場なので整備に手間がかかります。春先にグラウンドの土を掘り起こし、柔らかくしてから固める作業を毎年約一カ月かけて行ってきました」。試合後の整備にも時間がかかるため、延長戦になるとその日のうちに整備が終わらず、翌日早朝から作業を始めることも。「良い状態でプレーしてもらえるよう見えない努力を続けてきました。うちの整備は職人の域に達しています」と菊池さん。閉場を目前に控え、改めて整備スタッフへの感謝の思いが込み上げます。
岩手県営野球場は3月31日で閉場し、4月からは「きたぎんボールパーク(いわて盛岡ボールパーク)」がその役目を引き継ぎます。「3月21日までは見学もできます」と菊池さん。普段は入ることのできないベンチや、6月のプロ野球ラストゲーム後に東北楽天ゴールデンイーグルスの選手たちがこっそりサインを残した控室など、都合が合えば案内してくれるとのこと。それぞれの思いが詰まった岩手県営野球場へ、最後に足を運んでみませんか。