新着ニュース

いわて医療通信

医療記事

脳卒中を考える⑤

 今回はくも膜下出血について記載します。前回、脳血管の構造は体の血管と比べるとかなり『もろい』構造をしていることを述べました。くも膜下出血の原因も脳血管がそんな構造をしていることも関係しています。
くも膜下出血の原因は、先天的にできる脳動脈瘤の破裂です。脳動脈瘤がどのようにしてできるのかは完全にはわかっていません。原因として生まれつき脳動脈の壁に弱い部分があり、この部分に長年にわたって血流があたり続けることで血管の一部が膨らんでくると言う説が今のところ有力です。
脳動脈瘤に、しばしば家族性の発症があることも先天的な要因がある事を疑わせる事実となっています。図にして説明したいと思います。血管が二股に分かれる部分(分岐部)には血流がたくさんあたることになります。風船に息を吹き込んで膨らませ続けると、風船がどんどん薄くなって最後には破裂してしまいます。
脳動脈瘤もこれと同じ原理で、分岐部の血管の壁が血流によって風船のようにだんだんと大きくなっていき、それに伴って壁もだんだんと薄くなっていきます。ついには破裂して血管の外に血液が勢いよく噴き出し、頭の中が血液まみれになってしまう状態です(図)。従って、後天的に現れてくる高血圧症が原因の脳内出血とは異なり、生活習慣を改善するといった個人個人の努力ではくも膜下出血を予防することはできません。
また、脳動脈瘤をできなくするような方法や大きくなるのを止める方法もありません。脳卒中の中で、唯一個人の日常生活の努力では防げない病気となっています。

idai01

(岩手医科大学医師会)

岩手医科大学HP

関連記事

ページ上部へ戻る