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極めの一振りに挑戦

刀鍛冶への一歩は家業の手伝いから

現在、日本で作刀許可を得ている刀匠は全国で300名余。中でも日本美術刀剣保存協会が無鑑査認定(審査・鑑査なしで出品可能と認められること)している刀匠はわずか十数名。そのひとりに、盛岡市在住の刀匠・山口清房さんがいます。
昭和40年代後半から50年頃のバブル経済期の刀剣ブームで、「日本刀」が売れた時期も過ぎ、今は低迷期に。そんな厳しい現状にあっても清房さんはただひたすらに打ち込み続けます。
会津でも評判の鍛冶職人の父のもと、9人兄弟の7番目として育った清房さん。「もともと鍛冶屋になりたかったわけじゃないが、家業の手伝いということで、しかたなくはじめた」とのことで、まだ下っ端の頃は、鍛冶の手伝いをしながら、大好きな詰将棋の勉強を横目でちゃっかりしていたこともあったと明かします(趣味の将棋もなかなかの強者)。それでも今まで修練し続けてきたのは〝おめさんの刃物は切れだった〟とお客さんに言われた嬉しさや、〝自分を訪ねてきた客の想いに応えたい〟という気持ちが刀鍛冶として生きる原動力となっていったのだとか。

目標に向かうときの気の持ちようが好き

刀鍛冶以外に長年続けていることには、体力づくりのために毎日1時間散歩を行うことと読書、そして書き綴り続けている日記があるそうです。その日記も、あえて〝筆〟でしたためるというこだわりよう。
「日記はもう40年程つけてきました。普通はその日あったことを書き綴るものだろうけど、自分の場合は、次の日の朝に昨日のことを思い出しながら書く。これはね、前日の事を思い出せるかどうかで呆けがきてないか自分の記憶力を確認できるから。ペンではなく筆書きにしているのも、筆は使い方の工夫で頭と手の体操になるしね」。
御年84歳、「体で不具合は1つもない。不具合があるのは懐だけ」と、刀剣ブームが過ぎ去った今の刀剣界の厳しい状況をも逞しく笑い飛ばす清房さん。
「以前のように仕事はないものの、暇ならある。老い先短いからこそ、これからはまだ自分にできていないものをやってみたくてね。作れるうちは自分の作品を作っていきたいと思っています。そうやって、何か目標に向かっている気持ちが好きですね!」。そう言う清房さん。集大成としての最終目標は「相州伝(正宗)の良いものを作ってみたい」。残りの人生を賭け、極めの一振りを探究中です。

岩手県無形文化財指定 刀匠
山口 清房さん(84)

 

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