【意外に多い、耳の病気】①難聴の症状とは

【意外に多い、耳の病気】①難聴の症状とは

いわて医療通信
岩手医科大学 いわて医療通信

 一般的に「難聴」とは、音が聞こえにくい、言葉が聞き取りにくいという症状のことです。しかしながら、症状や原因、難聴の性質、程度などはそれぞれ個人で異なります。

 それでは、まず「音を聞く」という現象について説明していきます。音が発生すると空気が振動し、外耳に存在する鼓膜を振動させます。その振動が中耳にある小さい骨(耳小骨)を経て増幅され、内耳に伝わります。内耳には平衡(へいこう)感覚に関係する『前庭(ぜんてい)』と、聴覚に関与する『蝸牛(かぎゅう)』が存在します。この双方には感覚を伝える『有毛細胞』が存在します。音の振動は蝸牛に存在する有毛細胞(感覚細胞)を興奮させ、その興奮が神経細胞を経由して最終的に脳(聴覚中枢)に伝わることで、音として認識されます。したがって、音が発生して耳に入ってから脳に伝わるまで、このどこかの段階で障害が起こると音が聞こえにくくなります。 「音を聞く」のは、外耳、中耳、内耳、聴覚経路でなされ、「言葉を聞き取る・音がわかる」のは主に聴覚中枢(脳)によりますので、同じ難聴でも「大きい声で話してもらうと聞こえる」とか「音は聞こえるが言葉が分からない」など、その症状は人によってさまざまです。

耳のしくみ

 難聴は放置すると、聞こえが戻らない可能性が高くなるので、異変を感じたらできるだけ早期に受診して、適切な治療をすることが大切です。ご家族から「テレビの音が大きい」とか、ご自分で「難聴かな」と思うことがございましたら、まずは耳鼻咽喉科を受診してきちんと診断してもらうことが重要です。

 次回もまた「難聴」について、詳しく説明していきます。

岩手医科大学医学部
耳鼻咽喉科頭頸部外科

亀井昌代

■取材協力

岩手医科大学 >>

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