今回は、関節リウマチや膠原病(こうげんびょう)(免疫の異常によって骨や軟骨などに炎症を起こす病気の総称)といった免疫に関する病気について述べたいと思います。私が医師として働き始めた約40年前、リウマチや膠原病で外来を訪れる患者さんの多くは、若い方や働き盛りの中年の方々でした。しかし、最近では高齢者の患者さんが増え、待合室でも高齢者の皆さんの姿が目立つようになりました。これは医療技術の進歩により、リウマチや膠原病を抱えながらも長く生きられるようになったためです。また、年を取ってからこれらの病気を発症する方も増えています。
リウマチや膠原病は、免疫系が自分の体を攻撃することで起こる病気です。例えば、多発性筋痛症は全身の筋肉が痛くなる病気で、50歳以上の中高年の方が多く発症します。RS3PE症候群は高齢者に多く見られる手足のむくみや痛みを伴う病気です。手や肘、膝、足などの関節に左右対称の痛みや腫れが見られるようになりますが、予後良好な病気といわれています。ちなみにこの変わった病名は病気の特徴を表す英文の頭文字を取ったもので、まだ日本語の病名は付けられていません。ANCA関連血管炎は血管に炎症が起こる病気で、微熱や倦怠感が続いたり、腎臓や肺、皮膚、神経、鼻、耳、目など全身にさまざまな症状が現れます。側頭動脈炎は頭部の血管が炎症を起こす病気です。こめかみにある側頭動脈の頭痛と発熱が見られ、夜間に悪化するのが特徴となっています。
これらは以前から高齢者に多く見られていましたが、最近では、関節リウマチやSLE(全身性エリテマトーデス)といった若い人に多い病気も、高齢者で発症する例が増えてきています。
例えば、関節リウマチの治療では、早期診断と治療開始が非常に重要視されるようになっています。これにより、関節の破壊や機能障害を防ぎ、生活の質を保つことができます。近年は、血液検査や画像診断技術(超音波やMRI)などの進歩により、より早く正確にリウマチを診断できるようになりました。
岩手医科大学
リウマチ・膠原病・ アレルギー内科学講座
仲 哲治
■取材協力