【50歳以上は気をつけよう】1.帯状疱疹とは

【50歳以上は気をつけよう】1.帯状疱疹とは

いわて医療通信
岩手医科大学 いわて医療通信

 50歳から発症率が急増する「帯状疱疹」。今回から帯状疱疹に関するお話をしていきます。

 テレビやラジオの影響によって帯状疱疹という病気の名前を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。実はこの病気は、水ぼうそうの原因となるウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が原因で引き起こされるもので、水ぼうそうにかかったことがある人なら誰でも帯状疱疹を発症する可能性があります。実際、日本では成人の90%以上がこのウイルスを体内に持っているといわれており、再びウイルスが活性化することで帯状疱疹が発症します。子どもの頃に水ぼうそうになり、治ったとしてもウイルスは完全には消えることはなく、体の中の神経節(神経が集まる場所)に潜んでいます。そして、加齢や疲れ、ストレス、また免疫や抵抗力の低下などをきっかけとして再びウイルスが活性化し、帯状疱疹が引き起こされます。

 若い人でも発症することはありますが、特に免疫力が低下してくる50歳を過ぎた頃から発症率が高くなります。統計によれば、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を経験するとされています。また、糖尿病やがん、免疫抑制剤の使用など、免疫機能が低下する疾患を持つ人は、より発症しやすくなります。

 帯状疱疹の症状は、腕や胸、背中など多くは上半身にみられ、顔や首など外見が気になるところに現れることもあり、体の左右どちらか一方の神経に沿って帯状に現れる赤い発疹や水ぶくれが特徴です。発症初期には皮膚に神経痛のような痛みだけで、発疹が現れず、筋肉痛や関節痛、肋間神経痛、さらには腹痛などと間違われることもあります。ウイルスが痛みを伝える細胞が集まる神経節を攻撃するため、強い痛みを伴い、皮膚の違和感やかゆみ、しびれとして感じる程度から、針で刺されたような「ピリピリ」、「ズキズキ」、「チクチク」とした痛み、焼けるような痛みまでさまざまです。痛みにより、家事ができない、仕事に集中できない、眠れないなど日常生活に支障をきたすことがあり、顔や首に水ぶくれができてしまうと、外見が気になって外出しづらいという方もいらっしゃいます。

 診断は主に医師の「視診」で行われますが、必要に応じて水ぶくれの内容物を採取し、ウイルスの有無を確認する検査や血液検査が行われることもあります。

 次号では治療や予防に関してお伝えしていきます。 

岩手医科大学
皮膚科学講座

佐々木 夢希

■取材協力

岩手医科大学 >>

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