取材協力:カフェテラス K
矢幅駅にほど近い住宅街を南に進むと、広い庭の一角に緑の看板と白い建物が見えてきます。扉を開けると迎えてくれるのは、こぽこぽと音を立てるサイフォン、そして店主の佐藤京子さんの笑顔です。
佐藤さんは釜石市出身。26歳の時に盛岡市の中心部にバーを構え、以来35年間お客さまをもてなし続けてきました。「仕事は楽しく天職だと感じていましたが、還暦という言葉に囚われてしまって」と話す佐藤さん。60歳を機にバーの仕事に一区切りつけることにし、惜しまれつつも店をたたみます。
しかし佐藤さんには、人に頼らず自立して生きたいという思いがありました。そこでバーの常連さんから場所を貸り受け、新たなお店の開店を計画します。庭を眺めながらテラスでコーヒーが楽しめ、食事もできる店。そんなお店を思い描き、店内の間取りや壁紙などを細かく検討。改装工事が2カ月伸びるハプニングがあったものの、見晴らしのいい窓と白を基調としたインテリアに壁の油絵が映える、居心地の良いお店を作り上げました。
そんなお店には、野菜などの差し入れを持参する常連さんや、SNSで口コミを見たお客さまが連日訪れます。お客さまたちを惹きつけるのは、バーでの接客で培った佐藤さんの楽しい会話術と、唯一の食事メニュー「おまかせランチ」です。
「毎日来店するお客さまには、前日とは違う料理をお出ししますよ。だって『日替わり』ランチだものね」との言葉通り、その日ある食材でメニューが決まるので何が出るかはお楽しみ。お母さまの料理が根底にあるという、家庭的なやさしい味わいの料理がずらりと並べられ、コーヒーやお酒と一緒にいただけます。「おいしいものをおなかいっぱい食べて満足してほしい。そのための努力なら惜しみませんよ」と佐藤さん。味からもボリュームからも、おもてなしにかける真剣さが伝わります。今日はどんな料理に驚かされるのか、みなさんも足を運んで確かめてみませんか。



カフェテラス K
紫波郡矢巾町南矢幅13-70
019(697)3760
※工事のため現在は休業中。プレオープンは来年1月の予定。営業日詳細はお電話を。