通信技術を、地域の課題解決に

通信技術を、地域の課題解決に

インタビュー
東日本電信電話株式会社 岩手支店長
片岡 千夏 さん
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● 辞めよう、と考えていた新人時代の経験が糧に

東京生まれ、東京育ち。今年6月、NTT東日本岩手支店に支店長として赴任するまで、ずっと都内在住だった片岡さん。「就職してからも、一番遠かった勤務地が横浜。ほぼ東京から出ていないです」と笑います。

大学卒業後は、学んだ数学的思考が役立ちそうな情報通信の分野で社会を変える礎に貢献したいとNTTに入社。「きれいなオフィスでデスクワーク、というイメージで入社しましたが、実際に配属されたのは電話局の常駐エンジニア。窓のない機械室で作業着を着て、一日中地味な作業をしていました」と、振り返ります。

24時間稼働で、重要な装置の更改作業はおおむね深夜。しかし当時、女性社員の深夜勤務は認められておらず、男性社員だけが新しい装置や技術に触れる機会を与えられていることに歯痒さを感じたという片岡さん。 「自分だけ仕事の幅が広がらないように思えて、私がここにいる意味があるのか。と、転職も考えました。私にもやらせてください、と上司に詰め寄って困らせたりもしましたね」

そんな日々に転機が訪れたのは、入社5年目。東京全体の通信ネットワークをグランドデザイン(中長期的な配備計画や設計)する部署への異動がきっかけでした。「この会社じゃなければできないような、大規模ネットワーク構築に携わり、やりがいを感じました。尊敬できる上司との出会いも大きかったです。どんなにキャリアを積んでも努力を続ける姿勢や、あらゆる分野に『通信技術を応用できないか』とアンテナを張る発想力に、とても刺激を受けました」

この頃には「こんなに面白い仕事は他にない、と思えるようになっていました。今思えば、新人時代の地味な5年間の経験が基礎固めとなり、今に一番活かされていると感じます」と、片岡さんは話します。

●いざという時こそ 頼りになる存在に

そんな片岡さんにとって忘れられない出来事が、2011年の東日本大震災。 「当時私がいたのは、NTT東日本のネットワークの品質を維持管理する部署で、例えば、品質をもっと良くするための改修方針を検討したり、災害時にはその対応もすることになっていました。あの日は東京でもかなり揺れて、通信装置からは経験のないような膨大な警報が発生。本当に難しい選択の局面が何度もありました」

この時、片岡さんは「日本中のお客様にサービスを提供する会社として、こういった災害時にこそ頼りにされる会社・人材でなくては」と強く思ったと言います。「当時の反省を踏まえ、社内では災害時の備えや体制の見直しを徹底。私自身も、最悪の事態を含めたパターンの想定とその対応をしておく、という習慣が身につきました」

●通信技術の可能性を広く知ってほしい

入社以来、ずっと技術畑を渡り歩いてきた片岡さんは、今年6月、支店長として岩手支店に転勤。「東京以外の場所で暮らすことも、社外の人と会って営業をするのもほぼ初めて」と、環境の変化にまだ少し戸惑っているようす。岩手・盛岡の印象を「街中に川があって、岩手山が見えて、景色も空気も美しいですね。実直で親切な人が多く、いいところに来たなあと思います。コロナ禍が落ち着いたら、岩手のお祭りを体験したい」と笑顔を見せます。

そんな片岡さんが、岩手・盛岡に起こしたいイノベーションは「ICT(情報通信技術)の力で、この地域に、新たな価値を創造することで、さらに豊かな地方都市にすること」。

「岩手には、人口減少や物理的な距離などによるさまざまな課題があると思いますが、それらを私たちの強みであるICT(情報通信技術)が解決できるかもしれません。まずは岩手のみなさんに、ICTの力や可能性を知っていただきたい。地域の方々とお会いして話を伺い、その困りごとをどう解決し、貢献できるかということを毎日考えています」と話してくれました。

トマト栽培にICTを活用した事例を説明する片岡さん

プロフィール

1969年生まれ。東京都世田谷区出身。東京女子大学文理学部卒業後、日本電信電話株式会社(NTT)入社。東日本電信電話株式会社(NTT東日本)神奈川事業部設備部長、同社設備企画部担当部長(PSTN マイグレーション推進プロジェクトチーム長)を経て、2021年6月から同社宮城事業部岩手支店長。趣味は散歩、写真撮影。大切にしている言葉は「熱い心と、冷たい頭を持て」

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