野村胡堂と「銭形平次」

野村胡堂と「銭形平次」

岩手の先人こぼれ話
岩手の先人こぼれ話シリーズ

宮沢賢治学会 前副代表理事 佐藤竜一さん

「銭形平次」で知られる作家・野村胡堂は明治15(1882)年10月15日、紫波町に生まれました。胡堂はペンネームで、本名は長一(おさかず)といいます。盛岡中学校(現盛岡第一高校)に学びましたが、一年後輩が石川啄木でした。

 報知新聞に入社し記者として活躍した胡堂は社会部、学芸部などで部長、編集局相談役を務めました。「銭形平次」を初めて発表したのは昭和6(1931)年の「文藝春秋オール読物号」4月号で、胡堂は49歳になっていました。

 主人公の銭形平次が「神田明神下の長屋」に住んでいるという設定で、次々に巻き起こる事件を平次の名推理で解決していきます。時代小説、捕物帳(とりものちょう)の傑作として「銭形平次」は評判を呼びました。こうして、胡堂が75歳まで書き続けた「銭形平次捕物控」の総数は383編にまで及び、時代を越え、多くの人に愛されることとなりました。

 JR中央線御茶ノ水駅から徒歩でおよそ5分のところに平次が住んでいたとされる神田明神(正式名称は神田神社、千代田区外神田二丁目)があります。出版社と有志により境内に「銭形平次記念碑」が建てられたのは昭和45(1970)年12月のことでした。

銭形平次記念碑(神田明神境内)

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