朝食に、タンパク質を取ろう ―体内時計に合わせた食事で、筋肉量を増やす―

朝食に、タンパク質を取ろう ―体内時計に合わせた食事で、筋肉量を増やす―

健康食
正しい知識で食べて元気に 健康食
管理栄養士 菊池洋子さん

 加齢により筋肉が減少する「サルコペニア」や「フレイル」予防には、食事(栄養)と運動が大切です。中でも栄養は魚・肉・卵・乳製品などからタンパク質を十分に取ることが推奨されていますが、筋肉量を増やすには「タンパク質の量だけでなく“体内時計”に合わせた食事のタイミング」も大切であることが分かってきました。

● “体内時計”とは

 夜になると眠くなり朝になると目が覚めるのは、体の中に体内時計が備わっているからです。体内時計は24時間ではなく15分ほど長くなっているため、毎日リセットする必要があります。そのためには①「朝の光」を浴びて、②「朝食」をしっかり食べることです。

 体内時計は、栄養素の消化吸収、代謝などの日内変動にも関わっています。朝食を食べていない人は、朝食をしっかり取って全身にスイッチを入れましょう。

● 朝食のタンパク質 筋肉の維持・増加に効果

 早稲田大学などの研究グループは、筋肉量の増加にはタンパク質の量だけでなく“体内時計に合わせた食事タイミング”も影響することを明らかにしました。高齢女性を対象に朝・昼・夕のタンパク質の摂取量と骨格筋機能との関係性を調査したところ、夕食で多くのタンパク質を取っている人に比べ、体内時計に合わせて朝食で多くのタンパク質を取っている人の方が①骨格筋指数※や握力が高く、②1日のタンパク質摂取量に対する朝食でのタンパク質摂取量の比率と骨格筋指数は正の相関を示したと報告しています。

 多くの家庭では肉や魚は夕食に食べ、朝食は少ない傾向にあります。筋肉が低下しやすい高齢者は体内時計に合わせ、朝食にタンパク質をしっかり取り筋肉の増加・維持を図りましょう。

● 朝食にBCAAの多い魚・肉

 筋肉量の増加には、筋肉の合成を高める作用が強いBCAA(分岐鎖アミノ酸)が関わっています。BCAAと言えばスポーツ飲料などですっかり有名になりましたが、必須アミノ酸のイソロイシン、ロイシン、バリンの総称です。表はBCAAが多く含まれるタンパク質食品です。朝は「食欲がない・忙しい」、朝に「魚や肉を食べる習慣がない」という方は、卵2個を使用したスクランブルエッグやチーズ入りスクランブルエッグ、また、ミニ納豆1パックとサバ缶1/4のおろし和えなど、朝でも簡単で食べやすいメニューを工夫してみましょう。

※骨格筋指数:四肢の筋肉量(kg)を身長(m)の2乗で割った値(㎏/㎡)。骨格筋量の指標。

表:BCAAを多く含む食品

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