感謝の言葉を大切に

感謝の言葉を大切に

インタビュー
シニアズ2021年3月号【感謝の言葉を大切に】盛岡郵趣会 会員 池戸一枝さん
盛岡郵趣会 会員
池戸 一枝 さん
(89)

●切手との出会いと郵趣会の活動

1894年3月9日、明治天皇・皇后の結婚25年祝典を記念して、日本最初の記念切手を発行したことから、3月9日は『記念切手記念日』と制定されました。

盛岡に切手好きの収集家の方がいると知り、お伺いしたところ、盛岡郵趣会の池戸一枝さんが快くコレクションした切手を見せてくださいました。74年間集め続けた切手は丁寧にリーフにまとめられ、その数は1500ページにも及ぶそうです。

切手との出会いは11歳の頃で、当時は山口県に住んでいました。友達から父親の手紙を見せてもらったことがきっかけだそうで「満洲の切手でね、とってもきれいな切手だったの」と池戸さん。その切手を友達から譲ってもらったことで集めたいと思うようになりますが、当時はお小遣いも少なく、なかなか自分では買うことができませんでした。その後、13歳の時に長野へ引っ越します。女学校の友達に切手が好きなことを伝えると友達が切手をくれたり、自分でも1~2枚ずつ買えるようになりました。

徐々に集まるようになったのは社会人になってから。勤め先で出会った夫の康裕さんと結婚し、仕事の転勤で年に1回引っ越しをするという生活が続きます。「父や友人によく手紙を書いていたので、手紙を出しに郵便局へ通っていました。その時に新しい切手をチェックし、少しずつ買い集めていきましたね」。

池戸さんが盛岡に来たのは33歳の時。その3~4年後に、郵趣会の展示会情報を耳にした池戸さんは嬉しくなり、見に行ってすぐに入会。新しい切手の発売情報も得られることから、毎月会に参加するようになります。「郵趣会では集めた切手を展示して発表する機会があるため、自分でテーマを決めて集めては披露していました。会では“盆回し”と言って、自分の持っている要らない切手に値段をつけ、みんなで回して見て、欲しいものがあったら入札するということもやっていますね」。それから本格的に集めるようになり、郵趣会の東北大会では、切手友達から情報を教えてもらったり、業者が4~5件来るため、持っていない切手を買うことができたという。

 

●念願の自身初切手展開催

2017年、85歳の時に、一般の方に向けた展示会「趣味遊遊切手展」を開催。明治からの普通切手や切手趣味週間、ふみの日やお城、船などジャンル分けにこだわってまとめたと言います。切手のほかにも初日バー(切手発行日当日の消印がある封筒)、風景印のスタンプのコレクションも展示したとのこと。「船が恋人と言えるほど船が大好き。船で旅行に行くために、人より3倍も働きました。旅先では必ず郵便局に立ち寄り、その土地の風景印を押してもらうことが楽しみの一つだったの。北海道から沖縄まで1500個ほど集めましたよ」。

元気でアクティブに活動する池戸さんに、健康の秘訣を聞くと「言霊を大切にしています。良い言葉を言うと良いことが起きる。感謝の気持ちを言葉にすることで自分も嬉しいし、相手も嬉しくなります。これまでいろいろな人に助けられたり、宝物のような友達に出会えたので、今はお世話になった方への恩返しの時間だと思っています」。

切手から日本の素晴らしい歴史・芸術自然などを学ぶことができたという池戸さん。今も切手を集め続け、孫やひ孫たちとの手紙のやりとりを楽しんでいるそうです。家族や友達に手紙を出す時、切手をよく見てみてください。その小さな切手に描かれた日本の情景の素晴しさに、きっとみなさんも気付けるはずです。

見返り美人
1948年発行の「見返り美人」はコレクターに大人気
白い封筒の初日カバー
白い封筒の初日カバーを集めている人はあまりいないそうで、とても貴重なもの

プロフィール

1931年7月12日広島県呉市出身。過去に染色小物の販売を15年経験。趣味はカラオケ。ほかにも社交ダンスや陶器のコレクション、友人と掛け軸を作るなど、芸術・文化に多才な面も

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