● 同世代の仲間と成長できる場所
「明るい豊かな社会」の実現を目指し、20歳から40歳の若き経済人がさまざまな活動を行う盛岡青年会議所(以下、盛岡JC)。「このまちを今よりも良くしようという気概を持って日々活動しています」と話すのは、今年1月に理事長に就任した松浦直人さん。「まちの課題を見つけ、その課題を解決する方法を当事者に気づいてもらう。釣りに例えると、魚を釣ってあげるのではなく釣り方を一緒に考える活動を行っています」と話します。
山梨県出身の松浦さんは結婚を機に盛岡へ移住し、奥さまのお父さまが経営する会社に就職しました。同世代の集まる団体に入れば友人も増えるだろうと、盛岡JCのOBでもある義父から入会を勧められたといいます。「何をしている団体なのかも分からずに、試しに異業種交流会や地域づくりセミナーに参加しました。若い世代がまちづくりに本気で取り組んでいることが新鮮で、興味を持ちました」と振り返ります。
「当時は友だちを作るという目的で入会しましたから、今のように盛岡のまちやJCに愛着や誇りを持って活動できるようになるとは思っていませんでした」と松浦さん。転機となったのは2023年、当時の理事長から専務理事に抜擢されたことでした。「頼ってもらえた喜びが大きな原動力になりました。最初は理事長のために頑張ろうという思いだけでしたが徐々に盛岡JCに愛着が湧き、組織をもっと良くしたい、まちをもっと良くしたいと考えるように変わっていきました」と松浦さん。
その後、先輩や仲間との出会いや活動を通して多くのものを吸収し成長できたことに感謝し、盛岡JCとこのまちへの恩返しのつもりで理事長を引き受けたといいます。
●受け継がれるこのまちへの思い
盛岡JCは「盛岡さんさ踊り」、「わんぱく相撲盛岡場所」、「羅東國際青年商會との交流」を事業の柱としています。「盛岡さんさ踊りはその前身とされる『盛岡川まつり』が始まった1971年から参加しています。わんぱく相撲盛岡場所は今年で37年目、台湾の羅東國際青年商會との交流は58年目となる代々受け継がれてきた事業です」と松浦さん。このほか、盛岡JCメンバーの健康増進のために始めたマラソンが市民参加型の「もりおかマチラン」となり、県内外から8000人ものランナーが集う「いわて盛岡シティマラソン」という大きな事業に成長するなどまちのにぎわいを創出してきました。「先輩方が全力でぶつかりながら実現してきた事業はもちろんですが、全力でまちを良くしたいという思いを私たちは代々受け継ぎ、より良く工夫や変化を加えながら次代へバトンを渡しています」と松浦さん。いまの盛岡JCの活動基盤を作り、会う度に「頑張れよ」と温かく声をかけ、時には叱咤激励してくれる先輩の存在にいつも感謝しているといいます。
「バトンをつなぐために、会員拡大は大きな課題です」と松浦さん。何のため誰のために活動するのか、メンバーの意識を高める研修事業を増やし組織全体のポテンシャルを上げながら、事業を円滑に行えるよう100名超の団体を目指すといいます。「青年会議所(以下、JC)というと飲み会が多いとか朝方まで帰れないというマイナスのイメージがあるかもしれませんが、それは過去の話です」と松浦さん。時代の変化やコロナ禍の影響を受け、リモート会議やスマートカジュアルな要素を取り入れ、メンバー構成や状況に応じて飲み会からランチ会へシフトするなど柔軟な発想で運営改革を実施。誰にでも優しさを持って接し、個々の適性や力量に合わせて成長の機会を提供できるよう組織も日々変化しているとのこと。「JCは失敗を恐れることなく、本業や未来につながるさまざまなトレーニングができる面白い場だということを知ってほしい」と話します。
今後のまちづくりの課題についてお聞きすると「将来に対する漠然とした不安があるのではないか」と松浦さんは話します。その不安を取り除くためには「物質的な豊かさだけでなく心の豊かさを実感できる社会」の実現が不可欠だといいます。「自分たちの住むまちを良くするためにどうすれば良いか、まちの歴史や良さを知っているシニアの方とも一緒に考えていきたい」と松浦さん。まちづくりを本気で考える若者のパワーとシニア世代の豊富な知識と経験のコラボレーションの先に、どんな未来が輝くのか楽しみです。