【超高齢化社会を支えるお仕事】6.こんな症状は脳神経内科へ

【超高齢化社会を支えるお仕事】6.こんな症状は脳神経内科へ

いわて医療通信
岩手医科大学 いわて医療通信

 6回にわたり、脳神経内科についてお伝えしてきましたが今回で最後になります。まとめとして脳神経内科医が取り扱う症状を解説します。

 例えば頭痛ですが、意識障害があれば脳神経外科を直接受診するべきですが、いわゆる頭痛もちの方が予防したい場合には脳神経内科を受診して下さい。代表的な脳神経内科の症状としては、しびれ、めまい、ふるえ、力が入らない(筋力低下)、もの忘れ、けいれん、反応が悪い(意識障害)などが挙げられます。これらの症状を自覚したり、誰かが訴えている場合には、脳神経内科の受診を検討していただくのが良いでしょう。

 その中で「しびれ」を紹介いたします。広辞苑で「しびれ」を引くと、①体の一部または全体の感覚を失って運動の自由を失うこと、②激しく興奮しうっとりすること、③電気などに触れて体がぴりぴりとふるえるように感ずること、と解説されています。一方、医学辞書では、感覚過敏や異常感覚、感覚鈍麻、時に運動障害(力が入らない状態)をも意味する日本語で、感覚過敏や異常感覚の場合に用いることが多い、と出てきます。つまり、「しびれ」とは感覚障害を意味しますが、感情表現や運動麻痺を指す言葉として用いられている場合もあるのです。ちなみに感覚障害もいくつもの症状があり、脳神経のどこが障害されるかによって違います。異常感覚、錯感覚、知覚過敏、知覚鈍麻、無感覚などで、原因は末梢神経障害が過半数ですが、脊髄や脳幹あるいは大脳の障害も一定数あります。病気ではない場合もあり、代表的な症状として肘を何かにぶつけた際の電気が走るようなしびれや正座を崩した後にビリビリするようなしびれです。

 これら全てが「しびれ」の一言に込められているため、診断は混乱を極める場合もあります。しかしながら、私たち脳神経内科医はこうした背景をよく心得た診療を行っているため、患者さんの話をよく聞いて、そのいわんとするところを確実に把握することが得意なのです。

 脳神経内科のお仕事を6回シリーズでご紹介してきました。私たちが取り組んでいる診療や研究に関心を持っていただくきっかけになってくれたらと願っています。最後までお付き合いいただきありがとうございました。

岩手医科大学
脳神経内科・老年科

前田哲也

■取材協力

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