自分の興味関心を深めるための“旅するシニア”が増えています。同世代の知り合いはJR東日本の大人の休日倶楽部パスなどを活用して、コンサート、美術館、文学館から古寺、書店、雑貨店巡りなど、シニアライフを深めています。賢治研究者の佐藤竜一さんもその一人。昨年と今年で山陰や関西、九州まで足を伸ばし各地の文学館などを訪ねており、「地方独自の文化が根付いていており、楽しい」と歴史や文学の旅を推奨。私も、そんなシニアの旅に刺激され、つい先日和歌山行きを決行しました。
盛岡から奈良を経由して10時間ほどかけて南紀の白浜に。目的は、以前からぜひ行きたかった南方熊楠記念館。南国の植物に覆われた小高い丘にある記念館には、博物学の在野の巨星熊楠の歩みがパノラマのように展示され、南方マンダラの世界が広がっていました。外国語で論文を書き、植物学、微生物学、民俗学、天文学、宗教学など多くの領域に痕跡を残した博覧強記な自由人で奇人、同時代を生きた賢治と比較する研究者も。アポなしで、会ってくれた高垣誠館長は「2人が接した資料はないですが、2人ともナチュラリストで深い思想の持主」と解説。「岩手から遠いですが、ぜひ岩手の方にも来てもらいたいです」と話していました。平日だとゆったりと鑑賞もでき、宿泊費も割安。思い立ったら吉日、今年は少し遠出してシニアライフを深める旅はいかがですか。
