取材協力:りんりん舎
滝沢市の滝沢ニュータウン南口バス停前に差し掛かると、コーヒーを焙煎する香ばしい香りが漂います。窓から見える焙煎機が特徴のこのお店は、社会福祉法人一隅を照らす会が運営する「りんりん舎」です。
りんりん舎は、滝沢市の障がい者の皆さんが作業を通じて働く喜びや経験を重ねることで、地域で暮らす力を身につけてほしいという思いから設立された就労支援施設。最初はポプリやせっけんを作っていましたが、自社製品の売り上げで利用者さんの工賃を少しでも上げたいとお菓子の製造を始めました。
設立から3年たったころ事務所の1階で喫茶の営業を開始。しかし小さな店舗だったためせっかくのお菓子もアピールできなかったそう。ですが事務所の向かいに空き店舗ができたことがきっかけで移転し、現在の広い場所での営業が始まりました。
席数が増え、地域の人たちが来店するようになると、なにか食事ができると良いねというご要望が。そこでおにぎりや惣菜などの販売を始め、店内でもそば、うどんの提供を開始すると、遠方に買い物に行くのが難しいシニア層に好評となりました。それ以来「こんなのがあればいいね」というお客さまの声を取り入れながら徐々にメニューやサービスを増やし、今では喫茶やランチが楽しめ、惣菜や野菜も購入できる、地域の生活に密着したお店になりました。
一番の人気は自家焙煎コーヒー。豆は焙煎の前後に2度にわたってハンドピックで丁寧に選別しており、その味にファンも多いとか。週末にはまとめ買いに来る常連さんも。ほかにもランチは国産の食材を使い、添加物を極力控えるなど、おいしく安全な食にもこだわります。
食事メニューの調理をするのは職員さんですが、お菓子製造や接客は就業訓練中の利用者さんが担当。「お客さんにこんな声をかけてもらったよ」、「おいしかったって言っていたよ」と、お客さまの声に喜ぶ利用者さん。地域との交流が励みとなり、それが社会へ出る自信へとつながっています。