【安家森(あっかもり)1239m】「かぬか平」って何?

【安家森(あっかもり)1239m】「かぬか平」って何?

ほくほくトレッキング
阿部陽子のほくほくトレッキング
(公社)日本山岳会岩手支部 支部長 阿部陽子さん

 岩手は山の大地である。山域の3/4の面積を有する北上山地には、天然の草原が点在している。「かぬか平(てい)の山々」(佐藤敏彦監修)によれば、古くは馬を放牧しており、何処(どこ)どこの「かぬか平」とか「野芝のかぬか」など親しみを込めて呼んだという。

 葛巻町、久慈市、岩泉町にまたがる「かぬか平」もその一つだ。袖山高原の安家森から平庭高原の平庭岳まで、約9㎞の縦走路が続いている。登山口は南と北の二カ所、どちらにもトイレと駐車場がある。激しいアップダウンや難所があるわけでもない。お花畑に歓声を上げながら歩く。白地に黒文字の看板が、程よくハイカーを導いてくれるだろう。

 岩泉町の西端にそびえる標高1239mの安家森は、一等三角点を設置したピークである。国道281号の高家領(こうけろう)から車で袖山高原へ向かう。駐車場からやや下り気味に進むと、見晴らしのきく安家平だ。この先、牧野をゆるやかに登って行くのだが、牛は想像以上に巨漢である。「ヒトは襲わない」と聞いていたが、のっしのっしと接近されると、五臓六腑のどっかでプルプル怖気(おじけ)づくのだった。さすが一等の頂だ。北上山地の峰々をぐるりと見渡す。

 再び縦走路にもどって北上すれば、標高1127mのオビラキに着く。さらに1235mの遠別岳を登り、次峰台〜ジョウロイ台とつなぎ、1058mの平庭岳を乗越して富士見平へ。休憩を含めて5時間、至るところで舞台装置のような雲上展望が開くので、できるだけスカッと晴れた日を選んでほしいと思う。

 逆に、県道29号のつつじヶ丘駐車場から南下する場合でも、回送用の車を下山地点にデポする必要がある。

 何処で何を見たかって。いちいちの種あかしはヤボというもの、四季を彩る山野草、山座同定、野田の海…と、お楽しみは自らの足でよしなに。

安家森
さぁ、緑風のなかを牛のように歩いて安家森へ向かおう。左の稜線は遠別岳。二山とも縦走路の立役者である

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