● 想活のきっかけ
いつの間にか押入、居間、廊下、トイレなど家のあちこちに積読本が増え、このままでは"家族に大迷惑をかけかねない。何とかしなければ。まだ体力があるうちに"と思っていました。そして数年前に一念発起し、本の整理だけでなく本を活かして、何か楽しいこともできないものかと考えました。そこで、本の整理と有効活用のため、そして自分らしい今後のシニアライフを描くため、本を軸とした1枚の自分史(履歴+近未来設計図)の作成を思いつきました。過去の読書歴をたどり、これから読みたい本や本を活かしてできることなどの見える化も含め、自分流"想活"に着手しました。
● 自分流 想活のススメ
自分史は、想活の羅針盤。まずは、心に残るマイベスト本や再読したい本、家族に読んでもらいたい本のリストアップから開始。予想以上に結構な時間と体力が必要で、なかなか進まないことも。それでも、ゆっくりでも一歩ずつ進め、段ボールの中から学生時代に読んだ本を見つけたり、初めて買った美術の本などが出てくると、しばしタイムトリップしてしまいます。
そんな風に仕分け作業とリスト作成をしていたとき、昔参加した読書会での自由談義の楽しい思い出が浮かび上がりました。本を肴に、お茶を飲みながら気軽に話せる読書会。自分ができる範囲で読書会でもしてみようと、自分史設計図に書き込みました。くまがいぶんぼうぐやの熊谷店主に、そんな想いを話したら賛同してくれて「ブックサロンぱぴるす」がスタート。参加者は年齢も職業もさまざまですが、読んだ本をじっくり紹介し合っています。今では、書評を書いて参加するほどに。学生時代の同級生らと「Kブックカフェ」という読書会も立ち上げました。こちらは本を読まない人も話を聞くだけで参加できる会。今は本だけでなく映画や音楽までに広がっています。
最近は、若者の読書会の司会をしたり、新たな読書会の立ち上げのサポート役も引き受けています。シニアが多いときは、親や自分の介護、老後の生活、ボケ防止などの話題に及ぶことが多々あり、想活の必要性をひしひしと感じているシニアの方たちが多いですね。
大森さんの本棚と読書会で使用した本。好きなものや必要だと思うものを選別すると自分の気持ちにも整理がつき、これからのことを考える良い機会になるそう
想活をやってみよう
❶
好きなもの、やりたいことを思い描いてみましょう
❷
思い出を振りかえり、いつ、なぜ好きになったのか。ノートに書いてみましょう
❸
必要なもの、不要なものが見えてきたら選別しましょう
❹
大切なものだけを残し、不要と思ったものは片付けるようにしましょう
● 想活を始めてみて
今も想活は継続中ですが一昨年から年1回、「想活を総括」し、自分史をアップデートしています。本の棚卸し・整理から始まった、自分史作成という想活ですが、いつの間にか読書会へと広がり、自分の人生の棚卸しにもなっています。家族を配慮して始めた想活が本だけでなく大切なモノの見直しや整理にもつながっています。
すっきりした部屋の片すみには、小さな木の本棚(私の小宇宙)を配置し、再読の本のほか、合鍵、眼鏡、薬なども置き、本の間には健康診断書、自分史などもはさみました。想活によって、貴重品の置き場も決まり、庭や介護、健康関連の本や雑誌の整理も進みました。漠然としていたことが少しはクリアになり、気持ちも落ち着いて軽やかになれます。
私の想活の第一歩は、一枚の紙に我流自分史を手書きで書いてみることからでした。何度も書き直しました。そのうち、何度も出てくる言葉があり、だんだんと、重要なことが絞りこまれてきました。途中休憩したりして気軽に、無理せず、楽しみながらやることが良いですね。一人では、なかなか進まなければ、家族や誰か知り合いと一緒にやってみるのも良いかもしれません。とにかく、マイペースでゆっくりでも一歩ずつ。将棋の歩は、一歩ずつしか進めませんが、相手の陣地に入れば、金になり、バージョンアップします。想活、いつやりますか。今でしょ。