令和6年4月1日から不動産の相続登記の申請が義務化されました。今後、相続で土地・建物を取得したことを知った者(例:親の死亡を知った子どもなど)は、正当な理由なく3年以内に相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
相続登記では、相続を証する情報として戸籍謄本等や住民票の写しのほかに、法定相続人全員が押印した遺産分割協議書等の提出が必要となりますが、法律に従って作成した遺言書があれば、指定された相続人は他の相続人の同意を得ることなく、単独で手続ができます。
この遺言の方式には、主に公正証書遺言と自筆証書遺言の二つがありますので、それぞれの特徴を理解して、御自身の状況に合わせた方式を選択することが望ましいです。
公正証書遺言は、費用負担はやや高いものの、遺言者が口述した内容に基づいて公証人が作成するため無効になるリスクは低く、自宅や病院等に出張してもらうこともできるというメリットがあります。
自筆証書遺言は、費用負担を低く抑えられる反面、自筆であるため有効・無効は自己責任という側面があり、形式不備による無効や紛失・改ざんのおそれなどのリスクに加え、死後に家庭裁判所で検認を受ける必要もあります。
これらを解消する方策として、令和2年7月10日から法務局で自筆証書遺言書を預かる「自筆証書遺言書保管制度」が始まりました。「自筆証書遺言書保管制度」では、①法務局職員が形式的不備をチェック、②遺言者の死亡後、原本は50年間、画像記録は150年間保管、③家庭裁判所の検認不要、④死亡後に遺言書があることの通知を発出してもらえるなどのメリットがあり、自筆証書遺言を利用しやすい環境が整いました。
手数料は3900円で、岩手県内に住所地又は本籍地があるか、不動産を所有する方であれば、県内5カ所の法務局のいずれかに保管を申請できます。
相続登記が義務化されたこの機会に、遺言制度を活用してスムーズな相続財産の継承を行いましょう。
また、法務局では10人以上のグループからの御要望があれば、職員が出張(日当・旅費不要)し「自筆証書遺言書保管制度」などの所管業務に関する出前講座を随時受け付けています。ぜひ、お気軽にお問合せください。
盛岡地方法務局 供託課
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