【岩山 (いわやま) 340.5m】神の光線に ゆさぶられ

【岩山 (いわやま) 340.5m】神の光線に ゆさぶられ

ほくほくトレッキング
阿部陽子のほくほくトレッキング
(公社)日本山岳会岩手支部 支部長 阿部陽子さん

 元旦に岩山を登った。赤色と紫の光線が溶けあって、早春の柔らかい光がサワサワと盛岡市街に降りそそいでいる。「わ~ッ、綺麗!」鹿島精一記念展望台で歓声があがった。天空をパープルに染める神の光線に、魂をゆさぶられない者はいない。

 岩山は盛岡市民に親しまれる健康ハイキングの低山である。つい最近までは、雪の斜面を滑って転んで遊ぶ子どもの歓声が絶えなかった。けれど今は野鳥の棲む静かな森になった。

 登山路も登り方も千差万別で、山頂までハイクアップしようが車で乗り入れようがOKだ。標高340mの山頂エリアには、駐車場と公衆トイレ・360度の展望を誇る大展望台や展望レストラン・二等三角点がそろう。啄木の短歌を配した啄木望郷の丘には、山名の由来になる巨岩がある。

 時間に余裕あるカップルには、オシャレな登り方をご紹介したい。盛岡市役所前の海抜126m水準点からスタートし、街中散歩から岩山を目指す。あるいは岩手県民会館でライブを聴いた後、その余韻のまま岩山へ向かうなど、平地で助走しつつ国道4号を越える。登りの核心部は、城東中学校や山王小学校の横から始まり、高度差200mなのに息がゼーハー上がる。

 一般的には、旧盛岡橋本美術館近くに設けたトイレのある駐車場から登る。直登コース、東屋経由コース、旧四季園を巻いて岩山愛鳥の森へ抜ける道、左手の新庄第2配水場上部より樹林のスロープをたどれば、石碑「啄木詩の道」に着く。自分流のアレンジで数ある道を自由につなぐと、登山の手ごたえは十分だ。 「こんな山を一つ欲しいなぁ」と、つい呟いてしまう。低いけれど身もこころもシェイプアップできるほっこりムードの里山は、どこの市町村にもある。そうだ、岩山へちょっと…、時おりそう思うのである。

夕の雲がローズピンクに染まった。円盤の大展望台に明かりがともるころ盛岡は光の海となる

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