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脳卒中を考える④

 今回は脳内出血やくも膜下出血を引き起こす『血管』の構造について見ていきたいと思います。血管には皆様もご存じのように、一般的には酸素に富んだきれいな血を流す「動脈」と組織に酸素を分配してその後の二酸化炭素に富んだ使用済みの血液を流す「静脈」が存在します。動脈・静脈とも、内側より内膜・中膜・外膜の3層構造を取ります(図)。血管の内側の内膜は、内皮と呼ばれる薄い一層の上皮からなります。

 この内皮の機能によって、血管の拡張や、血液の凝固が防がれます。中膜は筋肉の一つである平滑筋から主にできています。平滑筋とは簡単に言うと自分の意志では動かすことのできない筋肉と考えて下さい。

 また、弾力を与えるために弾性線維も存在しています。一般的な動脈には、この内膜と中膜の間に内弾性板という穴の開いた弾性線維の膜が存在します。中膜の外側には外膜という結合組織も存在します。結合組織とは、組織を相互に結合して支持し、一定の形態や位置を保つ役割を果すものです。静脈はこれに対して中膜の部分の発達が一般的に悪くなっています。

 それでは、一般的な動脈と脳動脈の形の比較をします。一般的な動脈は今までに記載した構造を取っていますが、脳動脈は少し違っています。脳動脈では内弾性板に穴はなく連続性につながっていて、脳血液関門(脳血管では脳を守るため、血液と血管の間の物質の交通は制限されています)に関係しています。

 他の動脈と比較すると、中膜は薄い構造をしており、外膜も未発達です。図に示すように脳動脈は本当に心許ない構造をしています。このため、身体の動脈と比較すると簡単に破れてしまうのです。

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(岩手医科大学医師会)

岩手医科大学HP

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