2020年3月30日から放映されたNHK朝の連続テレビ小説「エール」は作曲家・古関裕而(こせきゆうじ)の生涯に焦点を当てていましたが、その古関と名コンビを組んだのが劇作家の菊田一夫(きくたかずお)です。NHK連続放送劇「鐘の鳴る丘」で名を馳せた菊田でしたが、そのテーマソング「とんがり帽子」は菊田が作詞、古関が作曲したもので、今も人々に愛されています。
菊田は日本敗戦の日(1945年8月15日)、岩谷堂(現奥州市江刺区)に住んでいた妻子に会うため、水沢駅に降り立ちました。妻子は戦火を逃れて岩谷堂に疎開し、及政(おいまさ)旅館で生活していました。
菊田もその旅館に住むようになり、一月(ひとつき)ほど妻子と過ごしますが、散歩をしながらいつも眺めていたのが岩谷堂町役場(現明治記念館)です。「とんがり帽子」の冒頭に登場する「緑の丘の赤い屋根」はこの建物をモチーフにしたとされています。
菊田は再び上京し、「鐘の鳴る丘」や「君の名は」のヒットで、一躍有名人になりました。岩谷堂はスプリングボード(踏切板)となるきっかけを作った街だったのです。
明治記念館から徒歩で5分ほどの所には菊田一夫記念館が建てられていて、菊田の生涯や「鐘の鳴る丘」の資料などが展示されています。