活性酸素を減らすファイトケミカル ―食生活で抗酸化力を―

活性酸素を減らすファイトケミカル ―食生活で抗酸化力を―

健康食
正しい知識で食べて元気に 健康食
管理栄養士 菊池洋子さん

 私たちは酸素を吸うことで生命活動を営みますが同時に体内では“活性酸素”が生じます。活性酸素は生命維持に必要なものですが、過剰な活性酸素は体を酸化(さび)させます。今回は活性酸素を減らす食生活を取り上げたいと思います。

● 活性酸素とは

 活性酸素とは「他の物質を酸化させる力が非常に強い酸素」のことで、私たちの吸う酸素の2%が活性酸素になるとされています。活性酸素は殺菌力が強く体内では細菌やウイルスを駆除しますが、増えすぎると老化、がん、しわ、糖尿病、動脈硬化など生活習慣病の原因になるとされています。他にも強いストレス、たばこ、多量のアルコール、紫外線などでも増えます。

● 抗酸化力は加齢と共に低下

 生体内では活性酸素が常に産生されている一方、私たちには活性酸素から自己を守る「抗酸化力(スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼなど)」が備わっており、活性酸素の産生を抑え、生じたダメージの修復や再生を促して、体内の恒常性を保とうとします。しかし、その抗酸化力は20代をピークに加齢と共に低下してしまうので、抗酸化作用のある食品をしっかり取ることが大切になってきます。

● 色鮮やかな野菜は抗酸化作用がいっぱい

 抗酸化作用のある栄養素は、お馴染みのビタミンA、ビタミンC、ビタミンEです。もう一つは、ポリフェノールやリコピンなどで注目される第7の栄養素である“ファイトケミカル”です。ファイト=植物、ケミカル=化学成分という意味で、野菜、果物、穀類の植物性食品の色素、香り、渋み、あく、ねばねばなどから発見され、皮や種子に多く含まれます。

 例えば、ビタミンA、E、Cが豊富に含まれる色鮮やかな赤パプリカの色素はカプサンチンというファイトケミカルです。ビタミンA、ビタミンE、カプサンチンは脂溶性なので、油と一緒に取ると吸収率が高まります。同様なことはホウレン草、カボチャ、ニンジン、モロヘイヤなどの緑黄色野菜にも言えます。

● 皮つき、あくは抜かず

 ゴボウにはクロロゲン酸、ナスにはナスニンとクロロゲン酸というファイトケミカルが含まれていますが皮を剝き、アク抜きで水につけると、大事なファイトケミカルが失われます。

 ゴボウの金平は皮つきのまま千切りにし、ニンジンと一緒に炒めることでファイトケミカルをしっかり取ることができます。またナスのナスニンは水に溶けだしやすいので、煮汁ごと食べると効果的です。

● トマトのリコピン

 トマトのリコピン、抗酸化力はビタミンEの100倍とされています。リコピンは加熱し、油と一緒に取ることで吸収率がグンと高まります。これからの季節、トマトジュースはレンジで温め、オリーブ油を小さじ1杯ほど入れて飲むと体も暖まります。

 最も身近なファイトケミカルはお茶のカテキン。食事の度に飲み、抗酸化力を高めましょう。

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