慢性腎臓病の予防「塩分」 ―減少傾向だが、まだまだ多い塩分摂取―

慢性腎臓病の予防「塩分」 ―減少傾向だが、まだまだ多い塩分摂取―

健康食
正しい知識で食べて元気に 健康食
管理栄養士 菊池洋子さん

 生活習慣病(糖尿病や高血圧、肥満など)や腎臓の病気(腎炎・腎症など)、加齢などが原因として起こる慢性腎臓病。シニアズの医療通信欄に、腎臓の働き〜透析導入まで6回シリーズで詳しく掲載されました。成人の8人に1人が慢性腎臓病に該当するとされており、改めて、食生活を見直す機会になったという人もいたと思います。今回は慢性腎臓病の予防や食事療法で大切なポイントとなる「塩分」を取り上げたいと思います。 

● “食べた気がしない”

 ある女性の患者さんに、「病院の食事は全部食べても、食べた気がしない。たくあんの1切れでもあれば、あ〜、食べた〜という気持ちになる」と言われたことがありました。当時の減塩食は塩分が7gでしたが、食べ慣れた漬物がないことが、“食べた気がしない”という気持ちにさせていました。実はこの“食べた気がしない”という気持ちや感覚が、減塩が必要とわかっていても、長年の習慣を変えられない要因の一つのように思います。

● まだまだ多い塩分摂取

 減塩活動の普及で塩分の摂取状況は減少傾向にありますが、60歳代では、男性11‌.5g、女性10gの摂取になっています(令和元年国民栄養調査)。この値は平均値ですので、ラーメンや寿司、焼き肉などで塩分が多くなると15g以上にもなります。健康な成人の1日の塩分目安量は男性7.5g未満、女性6.5g未満ですので、塩分摂取量は減少傾向にあるとはいっても、まだまだ大きな開きがある状況です。

 慢性腎臓病学会の塩分目標は3g以上6g未満となっています。腎臓を守るためには、さらに踏み込んだ減塩が必要となります。

● 腎臓を守るための第一歩、減塩

 私たちの体の60%は水分ですが、その体液量の調節に最も関係しているのが塩分(ナトリウム)です。例えば、ラーメンは汁を残して食べたとしても、3gくらいの塩分が体に入ります。塩は水を引き寄せる力があるので、3gの塩分を取ると、体液のナトリウム濃度を0.8%にするために、自分では意識していなくとも、最低でも375㏄の水を飲んでしまうことになります。その結果、血管を流れる血液量が増加し、血管壁にかかる圧力が上がり、血圧上昇につながります。血圧が高い状態が続くと、動脈硬化を引き起こし、高血圧、脳梗塞、心筋梗塞などの原因になります。

 取り過ぎた余計な塩分は尿中に排泄されますが、そのためには腎臓が一生懸命働くことが必要になります。そのため、塩分の取り過ぎは腎臓にも大きな負担をかけることになりますので、減塩を意識した食事をすることが大切です。

 次回は、塩分制限の実際を取り上げたいと思います。

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