“40・50代男性肥満者の90%が「肥満症」”。日本肥満症予防協会が3月4日の世界肥満デーで明らかにしました。今回は、肥満症予防のヒント“食生活の注意点”を紹介したいと思います。
● 肥満と「肥満症」
日本肥満学会は、BMI25以上を肥満としています。日本人はBMI25くらいから耐糖能障害、高血圧、脂質異常症などの合併頻度が高まるからです。一方、「肥満症」は肥満による健康障害(耐糖能障害、高血圧など11種のうち、1つ以上)や内臓脂肪型肥満がある場合で、減量などの治療が必要です。
● 肥満症予防のためのヒント
琉球大学の益崎裕章先生は肥満症予防のヒント“食生活の注意点”に次のような点をあげています。
① 動物性脂肪の取り過ぎと玄米のγオリザノール
動物性脂肪の取り過ぎは、脳の働きをかく乱し、体が欲する以上にエネルギーを取る、運動をする気がなくなりますます太る、酸化ストレスから老化を早める。対策のひとつに、玄米の“γオリザノール”が動物性脂肪に対する病みつきを防ぎ、肥満症や糖尿病の予防・改善をすることが分かった。
② 塩分の取り過ぎ・子どもの頃からの食生活に注意
塩分も動物性脂肪と同様、病みつきになる。塩分摂取量とエネルギー摂取量は正比例する。
学童期の肥満の40%、思春期では70〜80%が大人の肥満に持ち越される。小学3年生の食の実態を早朝の尿から分析したところ、BMIは塩分摂取量と正比例し、マグネシウムと逆比例した。太り気味の子どもは幼い頃から塩分摂取量が多く、マグネシウムを含む種実類、海藻、未精製穀物の摂取が少なかった。また、魚介類や大豆製品の摂取も少なかった。肥満予防には、幼い時からの食生活が重要である。
③ 超加工品の取り過ぎ
超加工品(清涼飲料水、加工肉、カップ麺、スナック菓子など)の取り過ぎは、太りやすいことが分かってきた。特に男性では、大腸や直腸がんのリスクが指摘されている。
また清涼飲料水、菓子類、アイス、調味料などに使用されている果糖、ショ糖、異性化糖※の取り過ぎも太りやすくなる原因。同じ糖でも、果糖は食欲をかきたて、満腹感を感じさせにくい。そのため肥満や糖尿病、脂肪肝、高尿酸血症の原因になる。
④ 腸内細菌のバランス異常
食生活の乱れ、肥満症、糖尿病があると、腸内細菌のバランスが乱れ、より太りやすく、より血糖値を上げる方向に体を変えることが明らかになっている。太って不健康な人は、太って健康な人に比べ、腸内細菌の多様性が低く、腸内細菌の傾向も全く異なっていた。これらの点からも普段の食生活の重要性が分かる。
日本人の座位時間は世界で2位。30分に1回立ち、軽く運動するだけで肥満や血糖を改善するとの報告もあります。こまめに動いて身体活動を増やしましょう。
※異性化糖:ブドウ糖や果糖を主成分とする液状の糖。日本では、砂糖の消費量が年々減り、異性化糖が増えている。