コンビニ、ドラッグストア、スーパーには、タンパク質を主力とした商品が多く並んでいます。前回号では、タンパク質の役割や、そのタンパク質が力を発揮するには、"主食は抜かず、しっかり食べること"の大切さを取り上げました。そこで、今回は"どの程度のタンパク質を取れば、健康的な食生活が送れるか"について述べたいと思います。
● タンパク質の摂取目標量
どのくらいの栄養を取れば健康的な食生活が送れるのかを示すものに「日本人の食事摂取基準2020年版」があります。それによると、タンパク質の摂取目標量は、生活習慣病の発症・重症化予防を考慮し、必要な摂取エネルギーの13~20%となっています。高齢者は、サルコペニア、フレイル予防のために、15~20%と高めになっています。
例えば、75歳女性の必要エネルギーを1600kcalとした場合、タンパク質から取るエネルギーは15~20%(1600kcal×15~20%)で、240~320kcal。タンパク質は1g4kcalなので、タンパク質の摂取目標量は60~80g⁄日です。
● シニア世代のタンパク質摂取状況
シニア世代のタンパク質の摂取状況(国民栄養調査・令和元年)は、60~74歳の男性は平均81.6g⁄日、女性は72.1g⁄日、75歳以上の男性75.9g⁄日、女性65.3g⁄日で、問題がないようにも見えます。しかし、その摂取量は個人差や地域差が大きく、タンパク質の不足・取り過ぎが見られます。
● タンパク質不足を防ぐには
タンパク質不足を防ぐには可能な限り、主食、主菜のタンパク質食品(1皿)、副菜の野菜などを揃えて食べることが最も大切です。朝食が"ご飯、卵納豆、夕食の残りの野菜炒めなど"でOKです。主菜が毎朝、同じでもOKです。
毎食ご飯1杯(130~150g)食べると、一日で10~11gのタンパク質が取れます。一方、魚や肉は、1皿分(70gくらい)で約12~15gのタンパク質、卵1個、納豆ミニパック1個、木綿豆腐1/4丁、牛乳200ccはどれも約6gと覚えておくと、大まかなタンパク質摂取量を把握できます。
● 朝食に、タンパク質をしっかり取る
日本人は、夕食に魚、肉などを食べる習慣がありますが、朝食にタンパク質をしっかり取った方が筋肉量、握力、骨格筋指数※が増加することが分かっています。朝から、魚、肉が苦手な方は、先の例のように卵1個と納豆ミニパック1個、または、サバ缶1/3缶と牛乳200ccなどにすると、魚や肉1皿分(70g)に近いタンパク質を取ることができます。
● タンパク質の取り過ぎ
十分なタンパク質を取っているにも関わらず、プロテインを薦められた、きな粉ドリンクなどを日々取っているという方も見られます。タンパク質は取れば取るほど良いというわけではありません。特にシニア世代では過剰なタンパク質が腎臓の負担になる場合があります。健診で腎機能の指標(eGFR)が低下傾向にある場合は、医師や管理栄養士に相談してからにしましょう。
※ 手足の筋肉量を身長の二乗で割ったもの
平成27年からシニアズで連載を始め、健康や栄養のことを皆さまにお伝え続けた健康記事も今回をもちまして、連載終了となります。9年間、ご愛読いただき、また記事への暖かいコメントもいただきまして、ありがとうございました。