サルコペニアやフレイルの予防、ダイエット、筋力増強などからタンパク質が注目され、タンパク質を主力とした商品が多く見られるようになりました。そんな中"タンパク質はどのくらい取れば良いのか"、"プロテインの摂取を勧められた"などの質問をよく受けるようになりました。タンパク質の適量摂取について、2回に分け取り上げたいと思います。
● タンパク質の役割
タンパク質は私たちの体に不可欠な栄養素です。筋肉、臓器、血液、皮膚、髪、爪など体の組織を作る栄養素であり、ホルモンや酵素、抗体、神経伝達物質などの材料にもなる重要な栄養素です。また、タンパク質は1g当たり、4kcalのエネルギーを産生します。つまり、タンパク質は体を作る原料とも言えるので、食欲低下などでタンパク質食品(魚・肉・卵・大豆製品・乳製品)の摂取量がグンと減ると、筋肉量の低下、免疫力の低下、疲れやすい、などが心配されるようになります。
● 主食を抜かない
主食(ご飯、パン、麺など)に多く含まれる炭水化物(糖質)は、体を動かすエネルギー源になり、タンパク質と同じく1g当たり4kcalのエネルギーを産生します。しかし、炭水化物ダイエットと称し主食を抜いたり、2~3口しか食べない方も見られます。体に必要なエネルギーが足りないと、体を作る原料であるはずのタンパク質が体を動かすための燃料として使われてしまい、筋肉量が減ることになりかねません。そのため、主食は抜かず、しっかり食べてもらいたいと思います。
自分が必要とするエネルギーの50~60%は、主食から取ることが栄養バランスの取れた食事の第一歩とされています。そのため、炭水化物を控えている方でも、70代で男性では、ご飯1杯強(180gほど)、女性は1杯(120~150gほど)は食べることをお薦めします。
糖質制限にはアイス、グミ、ケーキ、和菓子など、砂糖や異性化糖が多く入っている物を減らすことが先決です。
● ご飯、パン、麺にも植物性タンパク質
タンパク質は、タンパク質食品にしか含まれていないと思いがちですが、ご飯、パン、麺には植物性のタンパク質が含まれています。戦前、米が主食の日本人はご飯をたくさん食べて、ご飯から多くの植物性タンパク質を取っていました。米、麦などの穀類は、リジンというアミノ酸が不足しているため、アミノ酸価(タンパク質の質)は低いのですが、動物性タンパク食品を豊富に食べられなかった時代はリジンを多く含む豆類(豆腐、納豆、煮豆など)を組み合わせて食べることで、アミノ酸価を上げていたのです。
通常、3度の食事で、主食から15~20g/日程度の植物性タンパク質を取っています。ご飯などの主食をしっかり食べ、タンパク質の力量を発揮しましょう。
主食に含まれるタンパク質量
食品 | タンパク質量 |
ご飯 1杯(150g) | 3.8g |
食パン(6枚切り)1枚 | 6.2g |
スパゲティ(乾)(100g) | 13g |
うどん 1玉(230g) | 6g |
中華そば(生)1玉(120g) | 12g |
日本そば(乾)(100g) | 10g |