人がつながるまちづくり

人がつながるまちづくり

インタビュー
盛岡市 都市整備部長 髙濱 康亘さん
盛岡市 都市整備部長
髙濱 康亘さん
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● 盛岡への配属 地域連携に向けて

 カフェ、居酒屋、ジェラートショップ…開運橋のたもとに広がる木伏緑地は、2019年9月のオープン以来、市民も観光客も楽しめる盛岡の新たな賑わいの場として幅広い世代に愛されています。市の財政負担を抑えながらまちの魅力を高めようと、「公募設置管理制度(Park-PFI)」をいち早く活用したこの事業は、全国で3番目の制度運用となり、緑の芝生にウッドデッキ、コンテナショップが並ぶ開放的な景観は、2021年度グッドデザイン賞に選出されました。

 オープン目前の2019年4月、国土交通省から盛岡市都市整備部長に着任した髙濱康亘さん。基礎自治体への出向を強く希望していた髙濱さんにとって、「歴史と文化のあるまち」という印象を抱いていた盛岡市への配属はとても嬉しかったといいます。

「実際は甘くなく、大変なこと続きでしたね」と当時を振り返る髙濱さん。半年後のオープンに向け、本格的な工事がスタートした頃でした。忘れられないのは、地域住民が発した「女性や子どもが寄り付かない場所になる」の一言。説明不足から生じた地域住民との認識の違いを解消するため、町内会を回りました。若者の流出対策、駅前・中心地・材木町をつなぐハブとしての役割、財政面の効果など、木伏緑地の整備目的から丁寧に説明し対話することで、地域からの声は「しっかりやってくれ」というものへと変化。最終的には、地域住民にとって大切な場所を地域・行政・民間の連携でもっといい場所にしていこうというパートナー関係へとつながり、地域と共に舟運文化の復活にも取り組むなど良好な関係が続いています。

● 盛岡の未来を担うプロジェクトが進行中

 木伏緑地に続き、盛岡市では盛岡城跡公園、中央公園でも「Park-PFI」を利用した整備を進めています。このほか、今秋開業予定の盛岡バスセンター、2023年春リニューアルオープン予定の盛岡市動物公園ZOOMO、紺屋町番屋改修、松園地区の団地再生などいくつかのプロジェクトが同時に進行。内丸地区再開発も、1月末に第一回目のシンポジウム開催までたどり着き、大きく動き出しました。

「今のままで十分素敵な盛岡を、もっと素敵にしようというのが、まちづくりの基本です」と髙濱さん。今後さらに高齢化が進み、運転免許の返納が当たり前の社会になることを見据え、交通ネットワークを次世代型にいかにアップデートしていくか、ということも重要なテーマです。中心部・郊外・農村部をつなぎ、活発な人・モノの交流を創出するプロジェクトも進んでいます。

「その一つが、歩いて楽しいまちづくりです。例えば、街角に居心地の良い喫茶店や立ち寄りたくなる本屋があれば、歩く楽しさが増します。道が楽しいとまちが楽しくなり、人の交流が生まれます。歩くことは健康寿命の延伸、医療費の削減にもつながり、歩いて楽しいまちはシニア世代の暮らしの質の向上を実現します」と髙濱さんは話します。

● 人と人のつながりが盛岡の大切な財産

 休日は、まち歩きを楽しむ髙濱さん。なかでも盛岡城跡公園周辺のエリアが好きで、内丸・菜園界隈にお気に入りの店が多いとのこと。着任直後のまだ知り合いも少ない頃、コーヒーのおいしい喫茶店を見つけ何度か通ううち、マスターから別の喫茶店を紹介され、そこから次々と盛岡の人やモノ、場所とつながっていったといいます。

「何を食べても驚くほどおいしいし、優しく気遣ってくれる人が多いし、盛岡は本当に好きなまちです」と話す髙濱さん。取材当日も、ホームスパンのネクタイに裂き織りの名刺入れと、盛岡愛たっぷりに出迎えてくれました。盛岡が好きで、盛岡を大切にしている地元の人の思いを何よりも大切に、一人の市民としてまちづくりを進めていきたいと話す髙濱さん。大好きな盛岡をもっと素敵にするために、経験と知識の豊富な『シニアズ』読者世代にもアドバイスをいただきたいと話します。

木伏緑地の風景
木伏緑地の風景

プロフィール

東京都三鷹市出身。東京大学大学院修士課程修了。景観デザイン・都市計画を専門とし、東日本大震災後の2年間、大槌町の復興計画に携わる。2013年に国土交通省入省、宮城県石巻市の復興事業などを経て、2019年4月から盛岡市都市整備部長。大学時代はアカペラに熱中し、ハモネプ2008に出場。休日は盛岡生まれの愛娘と手をつなぎ、のんびりまち歩きを楽しむ

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