地元愛で夢を実現

地元愛で夢を実現

インタビュー
白石集落農業生産組合
白石集落農業生産組合 組合長
佐々木 武文 さん
(65)
中村 あづ子 さん(64)、中村 キリ子 さん(76)、菊池 八代子 さん(81)

● 自分たちの夢を叶えるための挑戦

 山田町白石集落にある地域のシンボル「水車小屋」。“昔ながらの風景を取り戻したい”と地元の人たちが協力して再建した自慢の水車です。「私が子どもの頃は、おばあちゃんたちが水車で米をついていました」と白石集落農業生産組合長の佐々木武文さん。現在は水車を使う機会が少ないそうですが、地域の人が集まる中心的存在になっています。

 水を流せば今でも“ごとん、ごとん”と回り始める水車。この音色が由来となった白石集落農業生産組合「ごっとん会」では遊休農地を活かすため、そばの栽培やそば打ち体験をしたり、自分たちの野菜や手作り菓子を水車小屋の朝市に出すなど地域活性化のため活動しています。「水車小屋が新しくなって、いろいろやりたいねってみんなで話してました」とごっとん会の中村あづ子さん。当時、山田町で活動していた復興コーディネーターから、専門家から地域づくりのことをみんなで学びましょうと提案があり、勉強会をすることになりました。「野口智子さん(地域力創造アドバイザー)のワークショップに参加して、みんなのやりたいことを絵に描きました。菓子や加工品を作りたい、花を植えたい、そばを楽しむための場所にしたいなどさまざまな絵が並びました」とやりたいことが具体的に。夢実現のため「必ず少しはお金を稼ぐ」などごっとん会のルールも作りました。

 次にごっとん会で作り続けてきたそばにアドバイスをもらうため長野県の里山料理人、北沢正和氏を講師に迎えます。「北沢先生と一緒に山歩きをしました」と菊池八代子さん。「今まで気にも止めなかった草木が実は香りが良いお茶になると教えてもらいました。煎じ方も聞いて自分でも味わっています。ここにはいいお宝があるから大事にしてねと言われ、白石の良さに気付かされました」とあづ子さん。長年作り続けてきたそばも「いいそばだね」と北沢さんにほめてもらい自信がついたと言います。

● 夢の集大成「ごっとん茶屋」

 地域の魅力を再発見したごっとん会の皆さん。「そばを食べる場所が必要なのでは」と声が上がり、白石集落の良さを自分たちで発信していこうという意識が芽生えてきたと話します。タイミング良く、プレハブ小屋を譲ってくれる人が現れ水車小屋の横に設置しましたが、設備不足だったり、風景に馴染むような外装にしたいなどすぐにオープンできませんでした。そんなとき再び復興コーディネーターからクラウドファンディングで資金を集めてみてはとアドバイスが。「失敗したら協力した方に申し訳ないと悩みました。3カ月ほど話し合いましたが、白石に来てもらうには茶屋は必要だと思うようになりました」とあづ子さん。こうしてクラウドファンディングを開始。多くの人の支援があり数カ月で目標額を達成しました。その後、改装が始まりみんなの夢だった理想の茶屋が完成。「ごっとん茶屋」と命名し令和元年12月オープンを迎えました。豊かなそばの風味を活かした山田町のアカモク(海藻)入りのそばは好評で、そのおいしさは口コミで広がっていき、今では宮古や釜石、内陸の人など山田町外からの人が食べに来ると言います。 「来年は子どもたちと農業体験をやろうかな」と佐々木さん。白石の魅力をもっと知ってもらうためごっとん会の挑戦は続きます。

プロフィール

山田町の白石集落農業生産組合「ごっとん会」。2011年に設立し、現在12名の農家のお父さん、お母さんが力を合わせ、採れたて野菜や昔ながらの和スイーツを持ち寄って朝市を開いたり、クラウドファンディングで資金を集め、自分たちで育てたそばと山田産のアカモクを使ったそばを提供する「ごっとん茶屋」を営業するなど、白石地区の魅力を見つめ直し、自ら発信する活動を行なっています

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