● 地域を担う人材の育成
令和7年6月時点での県内在住の外国人は約1万1千8百人。過去最高の数字で、国籍もベトナム、インドネシア、フィリピンとさまざまです。増え続ける外国人住民のサポートや地域住民との交流の機会を作る「岩手県国際交流協会」。理事長の佐藤博さんに多様な人材が織りなすこれからの地域づくりの可能性をお聞きしました。
県職員として岩手のために尽力してきた佐藤さん。財政課や議会事務局、総務部長や教育長など課や役職が変わるたびにさまざまな業務を経験したと話します。「地元思考が強く、岩手で仕事がしたいという思いがあり、県職員になりました。長くいた財政課では予算編成など多忙を極めていましたが、やりがいや達成感もありました」と振り返ります。
そんな佐藤さんの転機となったのが東日本大震災。災害時の危機管理対応業務を担当したことや復興に挑む人たちの姿を見て、意識が変わったと話します。「未来の岩手を担う人たちを守るため、何より『命を守る取り組み』を実践できる人材の育成が不可欠だと感じました。復興教育にも力を入れ、震災の教訓を引き継いでいくことが人を守り、やがてその人たちが地域づくりを担ってくれると信じています」。そう語る佐藤さんは岩手を担う人材育成の仕組み作りに、心血を注いできました。
●岩手の国際化を進めていくために
その後、令和5年岩手県国際交流協会の理事長に就任した佐藤さん。「今度は国際的視点を持つグローバルな人材を育てる仕組み作りが課題だと思いました。これからの岩手を創造していくためには国際的な感覚が求められると考えています」と同協会での活動にも意欲を燃やします。
そんな佐藤さんに岩手県の国際化についてお聞きすると「かなり国際化が進んでいる地域だと思います。 過去最大人数の外国人の方が住んでおり、観光で岩手を訪れる方も増えてきています」と今では在住外国人の人数は、東北では3番目に多い数に。それと同時に在住外国人からの相談も多く、病気などになったときに受診できる病院の案内や地震で津波警報が出た時の周知など、生活の上での困り事に寄り添います。「県で実施する避難訓練に外国人も参加してもらい、避難時に困る事を共有して対応し不安なく暮らせるよう、一緒に取り組んでいます」。
こうした活動を続ける中で、佐藤さんが最も大切だと訴えるのがアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)をなくすこと。言葉や文化の違いで分かり合えないという先入観を捨て、フラットな視点を持つことが不可欠と話します。「SNSなどで心ない言葉が飛び交うような時代だからこそ、相手を理解し、多様性を尊重しなければなりません。県民はもとより外国人も岩手の未来を共につくる大切なパートナーです」と地域住民との交流イベント「ワンワールド・フェスタ」などを通じて、互いの顔が見える関係づくりにも注力しています。
今後は県内の大学生の海外派遣や、海外事業に力を入れる県内企業への支援を進めたいと佐藤さん。「国際交流や理解を広げることで岩手を担う人材育成につながると思います」と、共に歩む地域づくりのために邁進していきたいと話します。




