【薬の正しい付き合い方】①ポリファーマシーとは

【薬の正しい付き合い方】①ポリファーマシーとは

いわて医療通信
岩手医科大学 いわて医療通信

 “いつまでも健康で元気に過ごしたい”という、皆さんの希望に逆らうかのように、年齢を重ねてくるとカラダのあちこちに生じる病気も増えてきます。例えば、血圧が高くなる(高血圧症)、尿に糖が出てくる(糖尿病)、骨がスカスカになる(骨粗しょう症)、よく眠れない(不眠症)…など。

 このような症状が出てきて近所のクリニックや診療所を受診すると「それではお薬を出しますので、しばらく飲んでみましょう」ということを経験されている方が多いと思います。

 医師から出される薬は1種類だけということはなく、改善したい病気の数だけ薬を飲むことになります。例えばこんなデータがあります。75歳以上の4割の方が5種類以上の薬を飲んでいます。さらには飲んでいる薬が6種類以上になると薬の害、すなわち副作用を起こす方が増えるといわれています。

 でも、“ちょっと待ってください。薬は病気を治すため、すなわち健康になるための『正義の味方』じゃないの”と思う方も多いのではないかと思います。ところが薬の数が多くなってくると“諸刃の剣”となってしまうのです。

 最近、ニュースや新聞などで“ポリファーマシー”という言葉を耳にする機会が増えてきました。今回は“ポリファーマシー”が及ぼす影響について紐解いてみたいと思います。

 ポリファーマシーとは、多くの薬を服用することによって、薬の害が増えること、薬の効果が低下するなどのさまざまな問題につながる状態を指します。

 先ほど6種類以上の薬を飲むと薬の害が増えることをお話しましたが、どのような害があるでしょうか。

併用処方している患者の転倒リスク

 上に示したグラフは、寝付きが悪いあるいは途中で目が覚めるという患者さんに処方される睡眠薬が1種類(単剤)の場合と2種類以上(多剤併用)の場合で転倒するリスクがどれくらい高くなるのかを示したものです。単剤投与では4.2%ですが併用処方の場合10.6%までリスクが高まります。実に2.5倍にもなるのです。飲む薬が増えるということは薬の害も増えるということがご理解いただけるかと思います。

 次回は“なぜ、高齢者になると薬の害が増えるのか”ということについてお話したいと思います。

岩手医科大学薬学部
地域医療薬学分野

松浦誠

■取材協力

岩手医科大学 >>

この記事をシェアする

Facebook
Twitter