【薬の正しい付き合い方】③高齢者での薬害増加vol.‌2

【薬の正しい付き合い方】③高齢者での薬害増加vol.‌2

いわて医療通信
岩手医科大学 いわて医療通信

 前回、肝臓と腎臓が薬の効果を発揮するために大切であることを述べました。今回はポリファーマシーにならないために気を付けることをお伝えします。

 薬の数が増えると増えた分だけ肝臓で処理しなければならなくなるので、肝臓が疲れてしまいます。その結果、薬を分解する時間がかかり薬が効かなくなったり、逆に副作用が出やすくなることがあるのです。また、腎臓が疲れると腎臓から薬の排泄が遅くなり副作用が出やすくなるのです。日頃から肝臓や腎臓をいたわった生活をしてください。お酒の飲み過ぎはいけません。腎臓に負担をかけないように、食塩の取り過ぎやタンパク質の取り過ぎも避けるようにしましょう。

 前回と今回のお話で、ポリファーマシーについてお分かりいただけましたでしょうか。せっかく病気を治す目的で薬を飲んでも、薬の数が多くなると病気が良くなるどころか、薬によって逆に健康を害することになるのです。

 ポリファーマシーにならないために一番大切なことは、信頼できる薬剤師を決めていただきいつでも相談できるようにすることです。日頃からどんな薬を飲んでいるのか薬剤師さんに知っていてもらえれば、新しい薬が追加になったときはもちろんのこと、市販薬や健康食品など使うときも、安全に使用する方法を助言してくれます。ぜひ、近くの薬局へ行って相談をしてみてください。

 前回も書きましたが肝腎、肝心(かんじん)かなめとは、肝臓と腎臓、心臓がとても大切であることから転じて、特に大事なものを指す語となっています。みなさんにとって今回の「肝腎かなめ」なことはポリファーマシーにならないように努力して、いつまでも健康でいることだと思います。薬と正しく付き合っていきましょう。

ポリファーマシーとは

多くの薬を服用することによって、薬の害が増える、薬の効果が低下するなどのさまざまな問題につながる状態のこと。飲んでいる薬が6種類以上になると薬の害が増えるといわれています。

岩手医科大学薬学部
地域医療薬学分野

松浦誠

■取材協力

岩手医科大学 >>

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