【もっと正しく、気持ちよく】相手に伝えるための技術

【もっと正しく、気持ちよく】相手に伝えるための技術

いわて医療通信
岩手医科大学 いわて医療通信

「ちゃんと教えたはずなのに、相手に伝わらない」  よく聞く話ではあります。そして、そのあとに大抵は相手に対する非難の言葉が続きます。  

でも、それって、本当に相手のせいなのでしょうか。  

いや、もちろんこちらが悪い、とも言いません。そもそも、行動分析学者の島宗理先生は、起こったことを相手のせいにしたり自分のせいにしたりしてしまうことを「個人攻撃の罠」と言って戒めております。それが相手でも自分でも、誰か「個人」のせいにしてしまうと、そこから改善ができなくなるからです。

 そもそも「教える」ということは簡単なように思えますが、実はとても難しいことです。「自分の頭の中にあるものと同じものを相手の頭の中に作る」行為なのですから。しかし、その難しさにほとんどの人が気がついていません。そして、本来害さなくても良い、自分や相手の気分を害してしまいます。では、どのように教えれば良いのでしょうか。

 一番簡単で確実な方法は、教えた直後に相手に今教えた内容を説明してもらうということです。相手が相手自身の言葉で、今教えた内容を説明することができれば、相手の頭の中に無事に伝達できたということになります。逆に、今教えたことを相手が説明することができなかったのであれば。その時は「何をどのように聞いていたのか」を丁寧に順番に、確認してゆきます。そうすると、どこでどのように「間違って伝わっていたのか」がわかります。その時大切なことは、あくまで「伝わり方が間違っていた」、「自分の伝える方法に改善の余地があった」だけであって、自分も、ましてや相手も決して悪くはないということです。

「そもそも、教えたことは伝わらない」、「間違って伝わっていても、やり方に問題があっただけであって、誰も悪くない」この2点に気をつけることによって、他の人に物事を教えるときのストレスがかなり少なくなるはずですし、「教えた直後に相手の言葉で説明してもらう」ことによって、よりきちんと教えることができるはずです。ぜひお試しください。

ポリファーマシーとは

多くの薬を服用することによって、薬の害が増える、薬の効果が低下するなどのさまざまな問題につながる状態のこと。飲んでいる薬が6種類以上になると薬の害が増えるといわれています。

岩手医科大学
医学教育学講座

相澤 純

■取材協力

岩手医科大学 >>

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