【健康的な睡眠を得るために】不眠障害について

【健康的な睡眠を得るために】不眠障害について

いわて医療通信
岩手医科大学 いわて医療通信

 睡眠は人間にとって必要不可欠であり、生理的欲求の1つです。日本人で成人の平均睡眠時間は約7時間といわれていますが、同じ人でも年齢、季節、その日の体調などで睡眠の状況は大きく変化します。必要な睡眠時間は個人差が大きく、必要以上に眠ろうとして寝床についても、かえって眠りが浅くなり、分断化されてしまうこともあります。

 不眠障害は"睡眠障害国際分類第3版"の診断基準において「入眠障害、睡眠維持困難、早朝覚醒などが、睡眠に適切な機会や環境があるにも関わらず起こり、日中の生活機能に影響すること」とされています。日本人では5人に1人くらいが何らかの不眠を自覚したことがあるといわれています。男性より女性の方が多く、加齢に伴い増加すると報告されています。睡眠障害の原因はさまざまですが、身体疾患、精神疾患、薬剤、環境や習慣、心理的原因などがあります。

 睡眠障害の治療を考えるときには、まず原因を評価して、その原因を解決・改善していくことが必要です。非薬物療法では、日本睡眠学会のガイドラインにおける睡眠衛生として、次のことをあげています。

① 定期的な運動。 ② 睡眠環境の工夫。 ③ 規則正しい食生活。 ④ 就眠前の水分量の工夫。⑤ 就寝前のカフェイン摂  取の制限。 ⑥ 就寝前の飲酒の制限。 ⑦ 就寝前の喫煙の制限。 ⑧ 寝床で考え事を控える。

このように普段の生活の中で睡眠の妨げとなる生活習慣を改善していくことが大切です。

 薬物療法では主に睡眠薬が用いられます。睡眠薬はベンゾジアゼピン系睡眠薬(脳の活動を抑えることで眠りやすくする)、メラトニン受容体作動薬(睡眠に深く関わるホルモン"メラトニン"に作用し、入眠困難などを改善する)、オレキシン受容体拮抗薬( 脳の覚醒を促進するオレキシンの受容体を阻害することで、脳を睡眠状態へ移行させる)の3つに分類され、不眠のタイプに応じて使いわけられます。ただし、副作用の影響もあるため、睡眠薬は漫然と長期間使用することは控えることとされています。使用する際にはメリット・デメリットを吟味する必要があります。睡眠薬はあくまでも補助的に、必要最小限の量だけに留めなくてはなりません。

 睡眠は体にさまざまな影響を与えます。時々自分の睡眠について振り返り、適切な睡眠の質・量を得られているか確認して、心と体の健康作りをしていきましょう。

岩手医科大学
神経精神科学講座

三條克巳

■取材協力

岩手医科大学 >>

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