【超高齢化社会を支えるお仕事】5.意外と多いパーキンソン病

【超高齢化社会を支えるお仕事】5.意外と多いパーキンソン病

いわて医療通信
岩手医科大学 いわて医療通信

 パーキンソン病をまだご存じない方もいらっしゃると思いますが、意外と多い病気です。最も目立つ症状は「ふるえ」で、とても寒い日や緊張するような場面では誰しもがふるえますが、そういう環境とは無関係に、自宅でテレビを見ているときや、何か別のことに集中しているときなどに手や足に現れるのが特徴です。そのため病院受診のきっかけとなることが多く、自分では気づかずご家族やお友だちに指摘されるのが典型的です。しかし、ふるえに気づいて病院を受診したときには、もうすでに動作が鈍く、何をするにも時間がかかり、一緒に散歩していても家族について行けないなど、運動緩慢と呼ばれるパーキンソン病の中核的症状を自覚していることが多いです。ご近所さんやお友だちの症状に気づいたら、ぜひ、私たち脳神経内科への受診を勧めてください。

 パーキンソン病はふるえが目立つ症状で、日常生活や仕事に必要な動作が鈍くなる運動障害疾患と呼ばれる病気の代表です。有病率は1000人に1人、70歳以上では100人に1人とされていて、高齢者に非常に多いです。転倒の原因になることから骨折の危険もあり、高齢者では姿勢異常を来す恐れもあります。現在では運動障害のみならず、便秘や発汗障害、よだれが多くなるなどの自律神経障害や嗅覚障害などの感覚障害、うつ症状などの気分障害、認知機能障害の合併なども知られるようになり、全身性疾患と捉えられています。

 根治療法がまだ開発されていないため日本では神経難病に指定されています。しかし、薬物療法が有効な病気であることから、正しく診断され治療を受ければ症状は軽減され、通常の生活ができて、生命予後には影響を与えないことが分かっています。パーキンソン病によく似た症状を来す病気もいくつかあるため、脳神経内科への受診がとても重要です。

 そして病気が進むことで薬物療法の効果が不安定になることもよく知られています。その場合でも治療方法が確立されていて、脳深部刺激療法や治療薬の持続経腸療法および持続皮下注療法などが実施可能です。岩手医科大学ではこれら全ての実施が可能な体制が整っています。これらの治療をお考えの患者さんは、治療経過を把握する必要があるため、自分の主治医とご相談の上で受診をご検討ください。

 内丸メディカルセンターは、紹介状の有無に関わらず受診が可能です。

岩手医科大学
脳神経内科・老年科

前田哲也

■取材協力

岩手医科大学 >>

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