【女性のケアを考える】1.更年期について

【女性のケアを考える】1.更年期について

いわて医療通信
岩手医科大学 いわて医療通信

「なんだか最近、気分が不安定だったり、眠れなかったりする…」。そんな風に感じている方はいらっしゃいませんか。もしかすると「更年期」のサインかもしれません。今回は更年期の基本的な知識をわかりやすくまとめました。

【更年期の時期】

 更年期とは、閉経の前後5年の合計でおよそ10年にわたる時期(平均閉経年齢は49・5±3.5歳)を指します。
 この期間は、卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)の量が急激に低下し、ホルモンバランスが大きく乱れます。個人差はありますが、女性にとって辛い時期となり、次のような症状が見られるようになります。

① 卵巣機能低下(女性ホルモンであるエストロゲン欠落)による症状

 女性ホルモンは以下のような働きがあります。卵巣の機能が弱まることでこれらの作用が低下します。

【女性ホルモンの重要性】
・ 乳房や子宮を発達させ、女性らしい体をつくる。
・ 骨形成を促進し、骨吸収を抑制。
・ LDLコレステロールを減少、HDLを増加させ動脈硬化を抑制。
・ コラーゲン合成を促進し、肌の弾力性や潤いを保つ。
・ セロトニンやドーパミンの代謝に関与し、気分や認知機能を安定化。
・ インスリン感受性を改善し、血糖値の調節をサポート。

② 自律神経失調による血管運動神経症状  ホットフラッシュ(のぼせ・発汗)や動悸、不眠など、自律神経のバランス崩壊に起因する症状が現れます。

③ 粘膜萎縮による症状  子宮内膜や膀胱粘膜が薄く・萎縮することで、頻尿や排尿時の違和感を感じたり、膀胱炎や膣炎になりやすくなることがあります。

④ その他の全身症状   骨や皮膚、脳といった全身への影響が及び、疲労感や集中力低下など、多彩な不調が生じる場合があります。また、骨量が維持されなくなり、骨粗しょう症につながったりします。

 更年期は個人差が大きく、自覚症状が乏しいこともありますが、放置すると日常生活の質が低下しかねません。気になる症状を感じたら、早めに婦人科を受診し、自分に合った治療・ケアを相談しましょう。

 適切なサポートを受けることで、更年期の不調は必ず改善が期待できます。 

岩手医科大学
産婦人科

小山 理恵

■取材協力

岩手医科大学 >>

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