取材協力:LOSS IS MORE concept shop&cafe
盛岡市青山の西警察署そばの交差点に、窓に取り付けられた大きなロゴが目を引く建物が。昨年オープンしたカフェ「LOSS IS MORE(ロスイズモア)」です。
店長の田村正道さんは盛岡市出身。東京の花の専門学校で学び、実家の生花店を継ぐため岩手に戻ったのち、長年フローリストとして活躍してきました。そんな田村さんが異業種のカフェを始める決心をしたのは、新型コロナウイルスが原因でした。冠婚葬祭が執り行われなくなり、卒業式もキャンセルに。経営は低迷し、大量の廃棄される花が発生しました。
なんとかしなければと悩んだ田村さんの中に「王道から外れてはみ出したことがしたい」という思いが生まれます。ちょうどそのころ、試しに作ったドライフラワーがお客さまから好評を得ていました。昔ながらの生花店ではドライフラワーは邪道という認識がありましたが、田村さんはその認識を転換。花の廃棄と経営の低迷という2つの課題を解決するため、捨てられる花を使ったドライフラワーを眺めながらコーヒーも楽しめるカフェをオープンしました。
店内はいたる所に飾られるドライフラワーはもちろん、床材には釜石線の廃材が使われるなど「廃棄されるものに新しい価値を」というコンセプトに沿った空間となっており、店名にもその思いが込められています。また「メニューも花と絡めた尖ったメニューにしたかった」と田村さん。花を思わせるフルーティーで華やかな香りの豆を使用した「花を感じるブレンドコーヒー」や、廃棄されるカーネーションをブレンドした蒸留酒を使った「ロスイズモアジンソーダ」、食用花を使った可愛らしいクッキーなど、花屋ならではのメニューが楽しめます。
「観賞用というイメージが強い花ですが、見る、触る、香りを楽しむ、食べるなど五感を使って花を感じられる体験の場にしたい」と思いを語る田村さん。コーヒーを片手に、花を身近に感じるひとときを楽しんではいかがでしょうか。