【万寿山 (まんじゅさん) 410.1m】一番人気はミスミソウ

【万寿山 (まんじゅさん) 410.1m】一番人気はミスミソウ

ほくほくトレッキング
阿部陽子のほくほくトレッキング
(公社)日本山岳会岩手支部 支部長 阿部陽子さん

「健康でいたい」と誰しもが願う。およそ1200年前、坂上田村麻呂が温泉につかって「躰癒(からだい)ゆ」と称賛し、この高く平らかな地を「䑓(だい)」と呼んだとある。中国では長寿と健康にちなむ言葉が「万寿」である。18世紀、清朝の皇帝・乾隆帝(けんりゅうてい)は、母の還暦のお祝いで、この先も福寿であるよう願い、北京郊外の頤和園(いわえん)(世界遺産)の甕山(おうざん)に土を盛り、高さ60mの人工の山にして「万寿山」と改めた。

 台温泉と花巻温泉の一角にある万寿山は、410mの小さな峰だが、羽山神社や温泉神社と同じく「湯守りの神」になった。健康と長寿と温泉は昔からホットな関係である。湯に浸かって汗を流すなら、体に優しい「ほくほくトレッキング」はいかがだろう。三つのルートを結び、1時間でも2時間でも3時間でもお好み次第に周回できる。

 台温泉バス停から約100m直進し、右手に見える駐車場に駐車、砂利のスロープから出発する。神社と山神の石碑より上部はジグザグの急坂となるが、やがて展望抜群の鉄塔89番に着く。5分で山頂だ。再び鉄塔にもどって438mの権現山を目指す。途中の分岐で台温泉方向へ下れば、やまゆりの宿に至る。権現山からさらに六郎山まで足を伸ばすと、4時間のロングランになる。

 4月から5月にかけて咲く野の花を目当てに、万寿山を登るファンは多い。一番人気はミスミソウ。トランプのスペードそっくりな葉がの名の由来である。花は色とりどりで、優しいピンク色、白色、濃い紅紫の花弁も見かける。「花巻周辺に咲く野の花・山の花」(花巻市教育委員会)には「花びらの枚数も多い少ないなど変化に富む」とある。同一斜面でありながら色を変え、枚数を変えて自由闊達に育つ。

 万寿山の春はかまびすしい。次から次と咲く花々に、昆虫ならず登山者が引き寄せられる。

万寿山
盛岡線鉄塔90から万寿山を眺める。空中にたわむ送電線は糸電話、まるで山々が内緒話を交わしているようだ

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