人を繋ぎ文化を支える

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インタビュー
インタビュー 炭窯元 楽炭代表 千田淳さん
炭窯元 楽炭 代表
千田 淳さん
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● 明治時代からある岩手の木炭文化

 囲炉裏や火鉢などの燃料として使われていた木炭。実は現在、岩手県が生産量日本一なのはご存知でしょうか。そんな、木炭文化の継承と生産に力を入れているのが北上市岩崎地区にある炭窯元楽炭です。

 「木炭は昔から南部鉄器の鋳型を作るのに使われたり、漆工芸の研磨作業にも使われていたんだよ」と話すのは、北上市出身の千田淳さん。3人きょうだいの長男として生まれ、少年時代は野山を走り回ったり、授業を抜け出して釣りに行くなど活発に過ごしたと言います。高校では生徒会の副会長を務め、政治家の秘書になりたかったとか。「トップよりナンバー2が好きだった」と笑う千田さん。政治の道に進むため大学進学を考えますが断念。やりたいことが見つからないまま仕事を転々とします。

●木炭文化木炭との出合いと後継者問題

 転機となったのは、広域振興局林務部の臨時職員として働いていた時。事務所の向かいの席に座っていた「岩手県木炭協会」の職員が体調不良で仕事を辞めることになり、誰かいないかと千田さんに声がかかります。結婚が決まっていた千田さんは生活の安定をはかるために面接を受け、30歳で木炭協会に入社。

 「入社してからは木炭の普及員として生産、品質指導や経営相談などで県内を回っていたね。16年間勤めたけど教えるより教えられる方が多かったかな。木炭協会は、いろいろと職人さんと話をすることが多いんだけど、行く先々で本当によくしてもらったよ」と千田さん。そんななか、炭が安い、売れないなどの悩みも多く、継がせたくないという職人を多く見てきたと話します。炭文化を守るためには後継者を育てないと…と千田さんは心の中で、考えるようになっていました。

 あるとき、一関で白炭(しろずみ)を作っていた職人から声がかかります。「廃業するのでこの窯がどうにかならないか」との相談を聞いた千田さん。「そのとき思ったんです。だったら、俺が後継者になればいいんだと」。まさかの自分が後継者になることを決断。いままでの経験をフル活用して窯を北上に移設します。移設には資金がなかったため、炭窯作りの研修を行い、研修代と補助金を工面したとか。木炭の問屋さんの協力もあって通常の1/3の資金で設置できたそう。「研修には県内外から62人も手伝いに来てくれたので助かったね」と笑います。

●やりがいを見つけるために

 現在、千田さんのまわりにはいろいろな人が集まるそう。「職業は別々だけど、山をきれいにしようという思いで集まってくれたり、今日は煙の状態がいいですねと声をかけてくれたり、全く炭を知らない人が遊びに来てくれたりするよ」。ほかにも仕事で行き詰まった人が炭を心の拠り所として県外から窯元を訪ねて来るなど、木炭で人とのつながりも広がっているとのこと。木炭愛に溢れた千田さんの人柄が、たくさんの人を引き付けているようにも感じます。そんな千田さんですが、やりがいはまだ見つけられていないのだそう。

 「やりがいを見つけるためにやっている。黒炭作りが上手なおじいちゃんとよく話すのは、成功したと自分で納得したら終わりだということ。絶えずどこかで今日のものはここがだめだと思ってないと、いいものができない」と常に追求し続けます。

●人とのつながりで広がる新たな炭文化

 「シニアの方には炭焼きを見て懐かしんだり、手伝いに来てもらえたら嬉しいね。子どもたちには薪割りや松ぼっくり焼きの体験もしてほしい。炭で生計を立てられるように仕組みを作っていくのが自分たちの役割。これを代々つないでいきたい」と話します。

 白炭はとても固く火がつくまで時間がかかるそうですが、その分長く安定して燃え続けるそうです。千田さんの木炭への熱意も白炭と同じように燃え続け、これから次世代へと引き継がれていくでしょう。

インタビュー 炭窯元 楽炭代表 千田淳さん
炭窯から出した木炭は1200℃にもなっているという

プロフィール

1969年5月17日生まれ。北上市出身。炭窯元 楽炭代表。 「いわて炭研隊(たんけんたい)」という団体を立ち上げ、5月中に始動予定。若者が木炭のブランドを生産し、炭の価値を高めて生計を立てられるようにするモデルを作ることで、後継者をつないでいきたいという千田さんの思いがあり発足

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