【国見山(くにみさん)243m】稲瀬火山岩に 歴史を拾う

【国見山(くにみさん)243m】稲瀬火山岩に 歴史を拾う

ほくほくトレッキング
阿部陽子のほくほくトレッキング
(公社)日本山岳会岩手支部 支部長 阿部陽子さん

「国見山」という山は日本各地にみうけられる。それらは、土地の国情を見るために名付けられた。北上市の国見山は、和賀川が合流する北上川東岸にある丘陵で、奥羽山脈を背景に広がる田園地帯を眺める好位置にある。

 山全体が、2500万年前に火山爆発した稲瀬層に属しており、小石まじりの岩石を稲瀬火山岩と呼んだ。珊瑚岳・薬師岳・山王岳・国見山の連なりは、どれも火山岩が地表に露出したもので、北谷や西谷とともに迷路のような山塊を造形した。特に、国見山の大岩(別称:戸木(とこ)の峰)は、信仰の中心をなすご神体の大岩座(おおいわくら)だ。平和観音像や悲閣展望台から見渡せば、盆地に降りそそぐ神視線を感じることができる。

 また、山岳仏教の国見山廃寺跡は、9世紀(平安時代前期)に開かれ、11世紀にかけて最盛期を迎えた一大聖地であった。700を越える僧坊で賑わったというからすごい。 

「あれッ、ここはどこ?私はだれ?」。悔しいかな最初、のんきに歩いた私はジグソーパズルのような国見山トリックにひっかかった。でも何度か通ううちに交差した小路が結びつき、国見山の全貌が立体化したのだった。

 まず無料休憩所やトイレのある広場から「三十三観世音巡礼コース」を登ろう。極楽寺を基点に国見山の裏〜表コースを巡る。

「国見山藩境コース」は、みちのく民俗村をスタートし、標高259mの珊瑚岳で三角点にタッチ。さらに国見山の絶景ポイント、大観音像〜展望台とつなぎ、西谷を経て民俗村へもどる。その他、林道や立花毘沙門堂、憩いの森、如意輪寺をたどる「健脚 極楽寺コース」もある。

 さて次はどこにしよう。偵岡(ものみおか)神社・薬草園・間沢挟塚(まのさわはさみづか)・牛の鼻ぐり・亀の子岩・男山…。「年中、登っているよ」と言いおき、おじいさんが追いぬいていった。

国見山
和賀川に架かる「九年橋」の歩道で国見山を眺める。雲の右下に悲閣展望台、長い尾根を左に進むと珊瑚岳

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