取材協力:青柿坊 -c'est si bon-
開運橋を渡り川徳方向へ歩くと見えてくるいとう酒店の隣に2年半前にオープンした喫茶店「青柿坊(せいしぼう)」があります。明るく出迎えてくれたのは店主の伊藤千鶴子さん。新潟県出身で進学のため上京し、大学のオーケストラサークルでいとう酒店の息子である旦那さまと出会い数年後、結婚と同時に盛岡へやってきます。「盛岡は人が良いと思いました。知らない人に話しかけられても自然と打ち解けられて温かさを感じました」とすぐに盛岡に馴染むことができたと言います。子育てが一段落し落ち着いたころ、いとう酒店周辺の道路拡張が決まり店を取り壊す話が持ち上がります。「義母を訪ねて近所のおばあちゃんたちがお喋りに来るお店だったので、なくなると知るとショックを受けていました。なんとかしたいと思い改装して店を続けられないか、せっかくなら隣を喫茶カウンターにしてゆっくりしていってもらいたいと考えたところ、設計士さんに数席置ける広さがあるから本格的に喫茶店をやってみたらと勧められ、不安ながらも喫茶店を開くことにしました」と思わぬ一言が喫茶店を始める後押しとなり、壁を深緑色にするなどシックで落ち着ける空間になるようこだわりました。「青柿坊」という名前は店の2階にあった染め絵作家、福田隆さんのアトリエの名前で、先代の店主の恩師でもあり親交が深かったため名前をもらい受けたそう。「アトリエの面影も残したくて福田先生が作った青柿坊のロゴや絵を食器や看板、店のカードにも使わせてもらい、頂いた染め絵も飾っています。東屋の大のれんや盛久工房の看板も福田先生の作品なので盛岡にいれば福田先生の作品を見たことがあると思います」と福田さんの味のある可愛い作品が楽しめる店になりました。
店で飲めるコーヒーは、仕入れ先のバリスタの方からのアドバイスをもとに淹れられる香りが濃厚なコク深い一杯で、甘酸っぱいレーズンがアクセントのパウンドケーキとよく合います。コーヒーを堪能しながら盛岡の雰囲気を味わいに行ってみませんか。