数年前のNHKスペシャル・食の起原で、塩は人類にとって最初の麻薬だったのではないかと紹介していました。まさに塩は、料理はもちろん、パンやお菓子類までおいしくしてくれるので、減塩が必要と分かっていても行動が伴わないことが多いと思います。今回は、その減塩のための第一歩、“基本的な調味料の塩分”を取り上げたいと思います。
● 調味料の塩分量を把握する
成人の塩分摂取目標は、男性7.5g未満、女性6.5g未満、そして高血圧などの疾患のある人は6g未満です。
塩分6gは、食塩だと小さじ1杯(5cc)、ラーメンなら1杯分の塩分です。
塩分は食塩で取るよりも、7割近くは調味料に含まれる塩分で取っています。そのため、まずは毎日使用するしょうゆやみそ、ソース、ケチャップ、ドレッシング、マヨネーズなど、基本的な調味料の塩分量を把握することが必要です(表1)。
● 薄口しょうゆは濃口しょうゆより塩分が多い
薄口しょうゆは、語感や色から塩分が少ないしょうゆというイメージですが、薄口しょうゆ(塩分19%)の方が、濃口しょうゆ(塩分17%)より塩分が多くなっています。色が濃いしょうゆは、発酵熟成時間が長くなることで色が濃くなります。一方薄口しょうゆは、発酵をゆるやかにして色味を抑えるため食塩が多めに使用されています。旨味の多いたまりじょうゆ、再仕込みしょうゆ(塩分13%程度)は、普通のしょうゆより塩分が低くなっています。
● 減塩しょうゆ、低塩しょうゆ、塩分控えめ
減塩しょうゆと表記されたものを目にします。通常のしょうゆに比べ、塩分を半分に減らしたものが減塩しょうゆです。その他、低塩しょうゆ、塩分控えめなども目にすることがありますが、これらは減塩しょうゆとは違い、通常のしょうゆに比べ塩分を20%以上減らしたしょうゆです。
● ノンオイルドレッシングとマヨネーズ
最近は減塩で油の入っていないノンオイルドレッシングも販売されていますが、なかにはマヨネーズの3倍の塩分の製品もあります(表1)。油が体に悪いというイメージでノンオイルを選ぶことがあると思いますが、食が細くなっている高齢者は、普通のマヨネーズでしっかりエネルギーを取る方をお薦めします。
● できそうな所から始めよう
徐々に塩分を減らすことが大切です。例えば、漬物やみそ汁の量や口にする回数を減らす、しょうゆは「かける」ではなく「つける」、スパゲティをゆでるときは塩を入れないなど、できそうな所から取り組んでみましょう。